書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド / 外見の醜さよりも、内面の醜さの方が恐ろしい

『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド 富士川義之/訳 岩波文庫 2019.10.28読了 著者も作品名も勿論知っていたが、実はオスカー・ワイルドの作品を読むのは初めてである。いや、童話『幸福な王子』はもしかしたら子供の頃に読んだかもしれない。『…

『昏き目の暗殺者』マーガレット・アトウッド / 皮肉たっぷりの老女アイリスの回想記

『昏き目の暗殺者』上・下 マーガレット・アトウッド 鴻巣友季子/訳 ハヤカワepi文庫 2019.10.26読了 10月10日に、今年のノーベル文学賞が発表された。去年の分と合わせて2名、ポーランドの女性作家オルガ・トカルチュク氏と、オーストリアの男性作家ピータ…

『ゴールドラッシュ』柳美里 / ある少年の狂気と哀しみ、そして光明

『ゴールドラッシュ』柳美里 ★ 新潮文庫 2019.10.21読了 この小説を読むのは2回めで、最初に読んだのは20年近く前になると思う。衝撃を受けたのは覚えていて、それ以来、柳美里さんの作品を気に留めるようになった。衝撃を受けたのに、内容はほとんど忘れて…

『月の満ち欠け』佐藤正午 / 月のように死んでも何回も生まれ変わる

『月の満ち欠け』佐藤正午 岩波文庫的 2019.10.19読了 目を疑った。これ、2〜3年前に直木賞を取った作品だよね?こんないかにも岩波文庫な表紙で驚いた。タイトルと著者名にマーカーを引いた、いわゆる岩波文庫の赤帯、青帯などの古典シリーズのようだ。まぁ…

『なんでわざわざ中年体育』角田光代 / 自分にも出来るんだ!という達成感

『なんでわざわざ中年体育』角田光代 文春文庫 2019.10.16読了 体育っていうのがいい。運動でもスポーツでもなく、体育。まるで体操着かジャージを着て、小中学生のように活動してるみたいじゃないですか、角田さん。 30代後半を過ぎてから、運動(この本で…

『ノースライト』横山秀夫 / 家を造ることは家族の人生を形作ること

『ノースライト』横山秀夫 新潮社 2019.10.15読了 今年の2月に刊行されてから気になっていた作品。横山秀夫さんは『64(ロクヨン)』が抜群におもしろい。読み始めから感じたことがある。今回の『ノースライト』はいつもの横山さんの雰囲気ではなかったし、…

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン / ホビットとドワーフと一緒にファンタジーの世界に

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン 瀬田貞二/訳 岩波書店 2019.10.12読了 ハリーポッターシリーズはほとんど読んだけど、ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)シリーズは映画を少し観ただけで、原作は読んだことがなかった。『指輪物語』の前日譚とし…

『人類最年長』島田雅彦 / 近代日本の生き証人

『人類最年長』島田雅彦 文藝春秋 2019.10.8読了 まるで、日本の近代160年史を読んだような感覚だ。1861年にこの世に生を受けた宮川麟太郎が、時代と共に生き、159歳になって病院に運ばれたことをきっかけに、その時担当になった看護婦に人生を話すというス…

『充たされざる者』カズオ・イシグロ / もがき、苦しみながら、もどかしいけれど読んでいたい小説

『充たされざる者』カズオ・イシグロ 古賀林幸/訳 ハヤカワepi文庫 2019.10.3読了 おそらく、カズオ・イシグロさんの小説(日本語訳されたもの)の中で一番の長編であろう。文庫本ではあるが、分厚いし重いし、値段もいい。940頁、1,500円。正直、特別面白…

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