書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

◇ノンフィクション・ドキュメンタリー

『パトリックと本を読む 絶望から立ち上がるための読書会』ミシェル・クオ/誰かと一緒に本を読む

『パトリックと本を読む 絶望から立ち上がるための読書会』ミシェル・クオ 神田由布子/訳 白水社 2020.8.20読了 私は読書が大好きでもはや日常の一部となっているが、いわゆる「読書会」というものに参加したことはない。読書は自分が好きな時に、好きな本…

『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー/本に囲まれて暮らす

『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー 市川恵理/訳 河出文庫 2020.7.29読了 フランス・パリにある「シェイクスピア&カンパニー書店」は本好きな人の聖地である。名だたる作家たちが集い、生活してきた場所だ。とは言っても私…

『新聞記者』望月衣塑子/昨年の日本アカデミー賞原作

『新聞記者』望月衣塑子 角川新書 2020.7.11読了 昨年の日本アカデミー賞『新聞記者』の原作である。正直、私の中では絢爛豪華な海外のアカデミー賞、ヴェネツィア国際映画祭、カンヌ国際映画祭等の授賞式に比べて、それを真似た日本アカデミー賞授賞式が滑…

『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』門田隆将/あの時何が起きていたかを知る。そして真実を残す。

『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』門田隆将 角川文庫 2020.6.16読了 新型コロナウィルス感染予防対策で映画館も閉館され、当初の公開時期延期を余儀なくされた映画『フクシマフィフティ』。3月頃は映画の番宣で、佐藤浩市さんと渡辺謙さんのお姿を…

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹/誰もが平凡な1人の人間である

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹 絵・高妍 文藝春秋 2020.6.5読了 村上春樹さんの小説やエッセイには、家族のことはほとんど書かれていない。敢えて登場する人と言えば、奥さまだろう。「妻と美味しいワインと料理をたしなむ」なんていうシーン…

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ/無知を知ること

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 新潮社 2020.5.28読了 このブログを見てくださっている本好きな方で、この本の存在を知らない人はいないだろう。去年のノンフィクション部門のタイトルをいくつも取り、未だ売れ続けている…

『もうダメかも 死ぬ確率の統計学』マイケル・ブラストランド/デイヴィッド・シュピーゲルハルター /数字と物語、どちらにも誠実に

『もうダメかも 死ぬ確率の統計学』マイケル・ブラストランド/デイヴィッド・シュピーゲルハルター 松井信彦/訳 みすず書房 2020.4.26読了 いつも購読しているブログで紹介されていて、この科学書なら私にも楽しめそう!と思い読んでみた。小説ばかり読ん…

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/女性も最前線で銃を撃つ

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫 2020.4.12読了 非常に重たい内容だった。読み終えた時に、ようやく終わったとホッとした。 途中から読み進めるのが辛くなってきたのだ。この本は、著者が500人…

『コンニャク屋漂流記』星野博美/自分のルーツを辿る

『コンニャク屋漂流記』星野博美 文春文庫 2020.3.28読了 神保町にある大好きな新刊書店に、星野博美さんの本がいくつか平積みされていた。これは何だろう?見たことも聞いたこともない著者だし、タイトルも変わっている。たまには、いつも選ばない本でも読…

『マイ・ストーリー』ミシェル・オバマ/自分のことを知り、語り、相手を受け入れれば道は開ける

『マイ・ストーリー』 ミシェル・オバマ 長尾莉紗・柴田さとみ/訳 ★★★ 集英社 2020.1.18読了 世界45言語で翻訳され、1千万部突破のベストセラー。前アメリカ合衆国大統領、バラク・オバマ氏の妻、ミシェル・オバマさんの自伝である。現在のトランプ大統領の…

『旅をする木』 星野道夫 / 人生をどうよく生きるか

『旅をする木』 星野道夫 文春文庫 2019.6.21読了 大型書店に行くと、たいてい文春文庫の平置き棚の前にベストセラーとして積み上げてある。だから、この本の存在は随分前から知っていて、いつか読みたいとは思っていた。しかし、紀行文・短編であるためか、…

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』 ドニー・アイカー / 謎のままのほうが風化しない

『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』 ドニー・アイカー 安原和見/訳 ★ 河出書房新社 2019.2.18読了 よく訪れる書店で、大学生かもう少し上くらいの男性2人がこの本を前にして話していた。「これ、面白いらしいよ」その男性は買…