書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

海外(カ行の作家)-カズオ・イシグロ

『クララとお日さま』カズオ・イシグロ|人の心に寄り添うこと

『クララとお日さま』カズオ・イシグロ 土屋政雄/訳 ★★★ 早川書房 2021.5.6読了 ノーベル文学賞受賞後、第1作目の長編小説である。カズオ・イシグロさんの本を単行本で購入したのは初めてかもしれない。やはり、イシグロさんはすごい。導入を少し読んだだけ…

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ|郷愁と別れ、記憶について

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ 土屋政雄/訳 ハヤカワepi文庫 2021.2.11読了 久しぶりにカズオ・イシグロさんの本を読んだ。この本は2回めの読了だ。イシグロさんがノーベル文学賞を受賞するずっと前、綾瀬はるかさんが同名のテレビドラマを演じる…

『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ / 歳と経験を重ねてようやく理解できることもある

『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ 小野寺健/訳 ハヤカワepi文庫 2019.11.23読了 カズオ・イシグロさんの小説で女性を主人公にしている作品は珍しいような気がする。それに、この小説に登場するのもほとんどが女性である。語り手の悦子が、過去を回想する…

『充たされざる者』カズオ・イシグロ / もがき、苦しみながら、もどかしいけれど読んでいたい小説

『充たされざる者』カズオ・イシグロ 古賀林幸/訳 ハヤカワepi文庫 2019.10.3読了 おそらく、カズオ・イシグロさんの小説(日本語訳されたもの)の中で一番の長編であろう。文庫本ではあるが、分厚いし重いし、値段もいい。940頁、1,500円。正直、特別面白…

『わたしたちが孤児だったころ』 カズオ・イシグロ / 自分にとっての真実を見つける

『わたしたちが孤児だったころ』 カズオ・イシグロ 入江真佐子/訳 ハヤカワepi文庫 2019.5.30読了 カズオ・イシグロさんの小説はじっくりと時間をかけて読む。イシグロさんが本当に伝えたいことがどこに潜んでいるかわからないから。訳文であっても損なわれ…

『浮世の画家』 カズオ・イシグロ / 読んでいるだけで心地良い感覚

『浮世の画家』 カズオ・イシグロ 飛田茂雄/訳 ハヤカワepi文庫 2019.2.23読了 カズオ・イシグロさんの小説は4冊めである。文庫本の『浮世の画家』は表紙が変わったなと思ったら新版とのことで、冒頭に序文が掲載されていた。この小説を書いた当時の話や時…