書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

海外(サ行の作家)

『アウグストゥス』ジョン・ウィリアムズ/ローマ帝国はいかにして生まれたのか

『アウグストゥス』ジョン・ウィリアムズ 布施由紀子/訳 作品社 2021.1.9読了 ローマの古代史、紀元前1年にローマ帝国が地中海世界を支配した時代を描いた作品である。その後は平和な200年と言われる「パックス・ロマーナ」になる。私は結構な年齢になるま…

『集英社ギャラリー[世界の文学]18 アメリカⅢ』ベロー、ボールドウィン、バース/アメリカ文学お腹いっぱい

『集英社ギャラリー[世界の文学]18 アメリカⅢ』ベロー、ボールドウィン、バース 集英社 2021.1.2読了 集英社が1989年から刊行した世界文学全集全20巻のうちの1冊、通し番号としては18でアメリカの3巻めである。巻末の紹介では「病める現代アメリカをえ…

『マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー/夢を追い続ける人は満足することがない

「マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸/訳 ★ 白水Uブックス 2020.11.23読了 今年の夏にスティーヴン・ミルハウザーさんの『エドウィン・マルハウス』を読んで、その独特な世界観に圧倒された。次は柴田元幸さん訳の作品を読も…

『ファインダーズ・キーパーズ』スティーヴン・キング/小説を愛しすぎた故に

『ファインダーズ・キーパーズ』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.10.8読了 ちょうどひと月ほど前に読んだ『ミスター・メルセデス』の続き、ホッジズ刑事シリーズの2作目である。前作が面白かったからすぐに買っておきスタンバイしてい…

『ミスター・メルセデス』スティーヴン・キング/警察もの推理ミステリー

『ミスター・メルセデス』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.9.2読了 久しぶりのキング作品だ。キング氏の小説を読むときは、軽い気持ちで読めないから心して挑む。この作品はのちに続く『ファインダーズ・ キーパーズ 』『任務の終り』…

『真夜中の子供たち』サルマン・ラシュディ/幻想的な中に卑猥さがつきまとう

『真夜中の子供たち』上下 サルマン・ラシュディ 寺門泰彦/訳 岩波文庫 2020.8.15読了 元々早川書房から単行本として刊行されていたが、このたび岩波文庫より装い新たに刊行された。ブッカー賞を受賞し『百年の孤独』以来の衝撃と称されたこの作品、読まな…

『フラニーとズーイ』サリンジャー/家族の慰め方

『フラニーとズーイ』D.J.サリンジャー 村上春樹/訳 新潮文庫 2020.8.12読了 この作品、まだ未読だった。サリンジャー作品は『ライ麦畑でつかまえて』しか読んだことがない。タイトルと中身のギャップがこんなにもある作品は『ライ麦〜』の右に出るものはな…

『エドウィン・マルハウス』スティーヴン・ミルハウザー/子供による子供の伝記

『エドウィン・マルハウス』スティーヴン・ミルハウザー 岸本佐知子/訳 河出文庫 2020.8.4読了 柴田元幸さんはおそらく文学界の中では一番有名な翻訳家であり、イコールポール・オースターさんの作品、というイメージの方も多いだろう。他に、柴田さんが影…

『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー/本に囲まれて暮らす

『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー 市川恵理/訳 河出文庫 2020.7.29読了 フランス・パリにある「シェイクスピア&カンパニー書店」は本好きな人の聖地である。名だたる作家たちが集い、生活してきた場所だ。とは言っても私…

『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』ジェスミン・ウォード/弱さをひた隠し強がる

『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』ジェスミン・ウォード 石川由美子/訳 作品社 2020.6.18読了 いや、この小説のタイトルやばいですよね。カッコよすぎ!英語の原文だとどんなニュアンスなのかはわからないけど、日本語訳のこの表現は素晴らしい。この作品は…

『荒野の呼び声』ジャック・ロンドン/野性にもどる

『荒野の呼び声』ジャック・ロンドン 海保眞夫/訳 岩波文庫 2020.6.9読了 ハリソン・フォードさん主演で映画化された『野性の呼び声』の原作である。ジャック・ロンドン氏といえば動物を題材にした本を書く人、というイメージだ。彼の作品を読むのは初めて…

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン/つきまとう不快感

『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン 市田泉/訳 創元推理文庫 2020.5.30読了 シャーリイ・ジャクスンさんの本は実はまだ読んだことがなくて、中でもこの小説のことはずっと気になっていた。色々と書評にあがることも多いけど、何よりもこの表…

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/女性も最前線で銃を撃つ

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫 2020.4.12読了 非常に重たい内容だった。読み終えた時に、ようやく終わったとホッとした。 途中から読み進めるのが辛くなってきたのだ。この本は、著者が500人…

『荊の城』サラ・ウォーターズ/騙し騙されて

『荊(いばら)の城』上下 サラ・ウォーターズ 中村有希/訳 創元推理文庫 2020.3.31 読み始めたらすぐにディケンズの『オリヴァー・ツイスト』が出て来た。つい先日読んだばかりだから、盗賊ビル・サイクスの名前も覚えていた。そう、この『荊の城』は、イ…

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン / ホビットとドワーフと一緒にファンタジーの世界に

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン 瀬田貞二/訳 岩波書店 2019.10.12読了 ハリーポッターシリーズはほとんど読んだけど、ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)シリーズは映画を少し観ただけで、原作は読んだことがなかった。『指輪物語』の前日譚とし…

『IT』スティーヴン・キング / 自分の「IT」をどうやって乗り越えるか

『IT』1~4 スティーヴン・キング 小尾芙佐/訳 ★ 文春文庫 2019.9.3読了 ずっと前から気になっていた作品である。1990年の映画も、ホラー映画史上最大のヒット作と言われている2017年のリメイク映画も、実は観ていない。怖いピエロ(ペニーワイズ)の画…

『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン / 理系の本も読もう

『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン 池 央耿 /訳 創元SF文庫 2019.3.5読了 普段だったらあまり手に取らない分野の小説だが、創元SF文庫で100冊突破!というロングセラーだったので気になり読んでみた。昔、立花隆さんの『宇宙からの帰還』を読…

『ドン・キホーテ』 セルバンテス / 岩波書店を応援しています

『ドン・キホーテ』前篇(一)(二)(三)後篇(一)(二)(三) セルバンテス 牛島信明/訳 岩波文庫 2019.2.16読了 セルバンテスといえばドン・キホーテだが、ドン・キホーテといえば、青いペンギンがキャラクターの、激安の殿堂を思い浮かべる人が多いかもしれない…