書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

海外(タ行の作家)

『結婚という物語』タヤリ・ジョーンズ|夫婦のあり方、親子の絆

『結婚という物語』タヤリ・ジョーンズ 加藤洋子/訳 ★ ハーパーコリンズ・ジャパン 2021.7.15読了 赤の他人同士が「結婚」という契約を結んで、一緒に暮らしていく。人生を共にすること。家族をつくること。多くの人が生まれた時から一緒に住む親子の関係と…

『少年は世界をのみこむ』トレント・ダルトン|ディテールの積み重ねが人生を彩る

『少年は世界をのみこむ』トレント・ダルトン 池田真紀子/訳 ハーパーコリンズ・ジャパン 2021.5.31読了 全く知らない作家だし、なんなら出版社も聞いたことがない。2019年にオーストラリアで1番売れた小説らしい。壮大なタイトルと、ペラペラめくった時の…

『シーラという子 虐待されたある少女の物語』トリイ・ヘイデン|人が人に与えられる素晴らしいものを胸に

『シーラという子 虐待されたある少女の物語』トリイ・ヘイデン 入江真佐子/訳 ★★ ハヤカワ文庫 2021.1.31読了 新版ということで書店に並んでいたが、過去にベストセラーになったノンフィクションだ。ネットで調べてみると、昔刊行された本のジャケットは確…

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』タラ・ウェストーバー/ウェストーバー家の大きな愛を感じた

『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』タラ・ウェストーバー 村井理子/訳 ★★ 早川書房 2020.12.4読了 タラさんが偉大な小説家で、読ませる作品を次々と生み出す希代のストーリーテラーなのではと勘違いしてしまうほど、おもしろい作品だった。フィク…

『ゴールドフィンチ』ドナ・タート/未来の神秘・名画と共に

『ゴールドフィンチ』1〜4 ドナ・タート 岡真知子/訳 ★ 河出書房新社 2020.7.20読了 村上春樹さんが『村上さんのところ』でドナ・タートさんの作品を絶賛していた。手始めに文庫本で手に入る『黙約』を去年読んだら、やばい!ほど面白く、去年読んだ小説…

『あなたの人生の物語』テッド・チャン/粒揃いのSF短編集

『あなたの人生の物語』テッド・チャン 浅倉久志・他/訳 ハヤカワ文庫 2020.6.4読了 バラク・オバマ氏が2019年に読んだ本の中で絶賛している『息吹』という短編集が去年末から日本でもベストセラーとなっている。買おうか迷って、でも初めて読む作家だし、…

『アメリカーナ』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/米国における人種格差

『アメリカーナ』上下 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ くぼたのぞみ/訳 ★ 河出文庫 2020.5.24読了 ナイジェリアの女性作家さんの小説。単行本刊行時から気になっていたのだけれどいかんせん分厚過ぎて断念…。私は読みかけの本は出かける時は必ず持ち歩…

『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ/大自然の中で孤独に生きる

『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ 友廣純/訳 ★★ 早川書房 2020.3.25読了 今、この本はたいていの書店で平積みされている。なんせ全米で500万部突破、2019年にアメリカで一番売れた本なのだ(と帯にある)。ということは、去年、ミシェル・オ…

『オリヴァー・ツイスト』チャールズ・ディケンズ/生まれ育った環境にも屈しない善良な心

『オリヴァー・ツイスト』チャールズ・ディケンズ 加賀山卓朗/訳 新潮文庫 2020.1.20読了 イギリスの小説は大好きである。ディケンズ、ブロンテ姉妹、サマセット・モーム、ヘンリー・ジェイムズが描くような、古き良き時代の格調高い英国の雰囲気漂うものが…

『トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇』トルストイ/人間の本質を見極める

『トルストイ民話集 人はなんで生きるか 他四篇』トルストイ 中村白葉/訳 岩波文庫 2020.1.2読了 トルストイの晩年の短編が収められている。長編はほとんど読んでしまっているため、最近は短編を読むことが多い。ここにある5編はどれも数十ページ程で内容的…

『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』トルストイ / トルストイの中編小説を噛み締める

『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』 トルストイ 望月哲男/訳 光文社古典新訳文庫 2019.11.25読了 トルストイの後期中編が2作収められている。私はロシアの小説家ではドストエフスキーよりもトルストイの方が好きだ。まだ、ドストエフスキーの…

『 凍 』 トーマス・ベルンハルト / 色々な国の小説を読もう

『凍』(いて) トーマス・ベルンハルト 池田信雄/訳 河出書房新社 2019.7.1読了 これで、「いて」と読むらしい。まるで雪の結晶であるかのように、タイトルが凍えている。オーストリアの作家、トーマス・ベルンハルトさんのことは今まで知らなかった。そもそ…

『羊たちの沈黙』 トマス・ハリス / これは映画に分配があがりますな

『羊たちの沈黙』 上下 トマス・ハリス 高見 浩/訳 新潮文庫 2019.5.5読了 映画のレクター4部作は、私の中ではサスペンス映画のベスト3に入り、どの作品も観た時大変興奮したことを覚えている。内容も知っているが何となく手にしたのが、映画上映では最初の…

『黙約』 ドナ・タート / 人の気持ちは変わるけれど変わらない

『黙約』 上下 ドナ・タート 吉浦澄子/訳 ★★★ 新潮文庫 2019.3.2 読了 読んでいる間は勿論のこと、読み終えた後しばらくの間も興奮が冷めやらないほど、久しぶりに夢中になれる本に出会えた。1月に『村上さんのところ』を読んで村上春樹さんがドナ・タート…

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ / 女性が働きやすくなるように

『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ 斎藤真理子/訳 筑摩書房 2019.2.4読了 韓国は女性が最も働きづらい国だったことを恥ずかしながら今知った。英国の『エコノミスト』誌が発表したところによると、韓国は、ガラスの天井(マイノリティや女性の…

「永遠の夫」 ドストエフスキー *名前で売れること

「永遠の夫」 ドストエフスキー 千種 堅/訳 新潮文庫 2019.1.12読了 生涯ただただ"夫"であるにすぎない"永遠の夫"の物語。裏表紙にある内容紹介。一体どんな話なんだろうと読んだけど、正直何も感想がない。ただただ字を追っていっただけのようだ。解説には…