書に耽る猿たち

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「永遠の夫」 ドストエフスキー *名前で売れること

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「永遠の夫」 ドストエフスキー  千種 堅/訳

新潮文庫  2019.1.12読了

 

生涯ただただ"夫"であるにすぎない"永遠の夫"の物語。裏表紙にある内容紹介。一体どんな話なんだろうと読んだけど、正直何も感想がない。ただただ字を追っていっただけのようだ。解説には、大作の間の息抜きだとか、原稿料の為、とまで書かれている。一応奥付を見ると、昭和54年初版、平成29年で30刷とそれなりの版を重ねている。ドストエフスキーの名前だけで売れてるのだろうか。

よく、名前だけで売れる小説家がいる。その本自体はそんなに面白くもないのに。でも、そんな私も好きな作家の本は名前だけで手にすることがままある。何故か期待して買ってしまう。それが読むに値しない1冊だとしても、また他の本を手にする。何度やっても良書に巡り会えないと、今度はその人の大作(最初に感動した本)をまた手にする。これが頂点だったのかなと思いながら。その作家が生きていれば、次の新刊はどうなんだろうと多分死ぬまで期待する。

名前だけで売れるということは、たった一度でも大きな感動を呼ぶ大作を書いたということ。それはもうその人の名前が作品のようなものなになっているんだろうな。でも、この人が書いたんだからきっと面白いはず、という暗示には絶対かからないようにしたい。

今の私は、面白い本というだけでなく、読んでいて心地いい本が好きである。それは、文体やそこに漂っている空気みたいなもの。自分に合ってるかどうかを大切にしている。