書に耽る猿たち

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「輝ける闇」 開高 健

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「輝ける闇」 開高 健

新潮文庫  2019.1.13読了

 

年末に始めて読んだ開高健さんの「青い月曜日」。生き生きとした文体に生のエネルギーを感じた。ねっとり絡みつくような比較的長めの文章が好物である私だが、歯切れの良い開高さんの文体にどこかしら心地良さを感じて2冊目に手にした本である。

歯切れの良さは思いのほか感じられず、ベトナム戦争を通じた日々の記録が綴られる。何故そこ(戦場)にいるかというよりも、何も考えずにただそこにいたのだろう。戦争に徴兵されるのは、ただ理由もなく空虚にそこにいるという感じ。感情を挟む余地もなく従うのみ。ここで、「神聖喜劇」の東堂を思い出す。彼は常に考えていたなと。そういえば、よくあれを読み切ったなと今更ながら思う。

戦争を自分の目で見て感じたことで、その後の作家としての方向性に一石を投じたのだろう。

続編である「夏の闇」も一緒に買ったが、取り敢えずしばらくは置いておく。同じような戦争ものを読むなら、野間宏さんか、大岡昇平さんを先に読んでみようか。

ブログを始めてまだ数日だけど、やっと思い出して書くという作業が終わった。現在進行系の読み物でなく過去に読んだ本のことを思い出すのはなかなかもどかしい。たった2〜3週間前に読んだものですら。読んですぐの新鮮な想いを書き留めていきたいと思う。