書に耽る猿たち

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『クロコダイル路地』 皆川博子 / 自分に合わない本はどうするか?

 

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『クロコダイル路地』 皆川博子

講談社文庫  2019.1.30読了

 

いや、読了したとは言えず、もはや目を通しただけのレベル。

文庫本なのにこの分厚さ、そして随所に挟み込まれたゴシック調のイラスト、そして超強気なこの価格(1,850円!講談社文芸文庫、学術文庫並み!)。こんな強気な出版方法、これは面白くないはずがない、そして読んだことのない作家の作品を積極的に読もうと決めているため、迷わず手に取ったがはじまり。

もう、最初の100頁くらいで嫌な予感というか自分には合わないと察してしまった。数々の文学賞を受賞している皆川さんの本なので好きな人も沢山いるはずだが、私にはどうやら合わなかったようだ。どんな読み物も、たった1人でも読んで良かったと思う人がいれば、その本の意義はあると私は思っている。生業としていけるかは別として。

読書を習慣としている人なら必ずあると思うが、他の人はこういった本に出くわした時、どうしているのだろう。①途中でやめるのか、②我慢して読み続けるのか。

①のタイプの人は、こんな本を読むことは時間の無駄だとして放棄するのだろう。人生には時間が限られている。良書を読まないと意味がないとする。

②のタイプの人は、いやいやまだ序盤、これから面白くなる、きっと何か役立つことが書いてあるはず、と信じて読み続ける。あとは活字を追ってるだけで満足だとか、読んでいる自分が好きとかそういう気持ちの人もいるだろう。

別にどちらがいいとか悪いはなく、個々の読書家の性格によるもの。自分はおそらく②に近いのだが、、、こういう本は読んでいて苦痛に近い感情になる。だからすっ飛ばして読みたくなる。早く終われ!と。

面白い本は早く読み終わると言われる。これは、読むスピードよりも、単純に費やす時間が長いから。続きが気になるから寝る間も惜しんでひたすら読むことに時間をかけるからだ。しかし、面白い本、自分にぴったりな本こそ、じっくり噛み締めて読みたいから、実は読むスピード自体はそんなに速くない。むしろずっとこの感覚に浸っていたいから、読み終わりたくないという心境。あまりピンとこない本程、早く終わらせたいから、ページを捲る手も目の動きも加速するのだ。

出来るだけ時間をかけて読みたいものだ。