書に耽る猿たち

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『羊たちの沈黙』 トマス・ハリス / これは映画に分配があがりますな

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羊たちの沈黙』 上下  トマス・ハリス   高見 浩/訳

新潮文庫  2019.5.5読了

 

画のレクター4部作は、私の中ではサスペンス映画のベスト3に入り、どの作品も観た時大変興奮したことを覚えている。内容も知っているが何となく手にしたのが、映画上映では最初の作品『羊たちの沈黙』である。確か時系列のストーリーとしては3つめの順番だったと思う。

作と映像化された作品では、たいてい原作のほうが面白い。ただ、より映像に特化したハリーポッターシリーズやバック・トゥ・ザ・フューチャー等は別である。現代の映像技術をもってして作られた作品は本当に素晴らしい。原作を超えた映画もたくさんある。しかしこの作品は、映像美を求めるよりも、サスペンス要素、人間の心理をついた描写が特徴だろうから、より詳細に描かれた原作のほうが醍醐味があるだろうと思っていた。

んなわけで、原作に期待していたのだが、あまりドキドキしなかったのが本音。映画では、恐怖心とそれを見たさの狭間で緊迫した心情の自分がいたのだが、翻訳のせいか淡々とした文章でピンとこなかった。展開が速すぎるのもあるかもしれない。敢えていうならば、クラリスレクター博士の面会場面でのやり取りが秀逸だった。映画「羊たちの沈黙」を観た時は、終盤に追われるクラリスの息詰まる展開がとてもスリリングでまさに呼吸が苦しくなるほどだったのだが、文章ではなかなか表現が難しいのだろうか。それとも、ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンズが強烈すぎて、リンクさせながら読んでしまったからいまいち物足りなかったのだろうか。

映画の4部作を再度観てどう感じるか確かめたい。上映順だとこうなるかな。

羊たちの沈黙

ハンニバル

レッド・ドラゴン

ハンニバル・ライジング

と言ってももう今日でGWは終わりだ。ゆっくり観る時間が取れるかどうか。