書に耽る猿たち

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『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ/引っ立て屋が気になった

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『1793』ニクラス・ナット・オ・ダーグ  ヘレンハルメ美穂/訳

小学館  2020.3.13読了

 

ウェーデン、ストックホルムを舞台とした歴史ミステリーだ。タイトルの『1793』はもちろん西暦1793年のこと。タイトルが年号になっている作品は結構あるけれど、何故か国内の作品にはあまりないような気がする。1793年は果たして何があったかといってもすぐに出てこないが、1789年にフランス革命があったから、その数年後というイメージで読み進めた。

トックホルムのある湖で、謎の変死体が見つかる。余命数ヶ月という結核に侵されたセーシル・ヴィンゲと、引っ立て屋のミッケル・カルデルがペアとなり捜査をしていく。全体で4つの章があるが、1973年秋から始まり、夏、春と遡った後に、最後は冬へ戻るという構成だ。

ころで、「引っ立て屋」って何だろう?引っ立てるという言葉には、無理やり連れて行くという意味があり、犯人を引っ立てるというような言い方をするようだ。この小説では、風紀取締隊という意味合いで、警察組織ではなく下請けのような立ち位置。日本だったら警察内での役割だと思うけれど。そういえば、岡っ引き(銭形平次だったっけ)みたいなものかな?

にかく、全編を漂うグロさ。まず謎の死体は四肢が切断され目玉もくり抜かれているという、想像だにしたくない容貌。他にも、胸糞悪くなる描写が多く、あまり想像力を高めない方がスムーズに読めるだろうというところ。映画化するのは結構難しいだろうな、一部の人たちには好まれそうだけれど。

ごとに人物の視点が変わったり文体が変わったりと、読者を飽きさせない展開は見事だと思うし、あまり自分で選ばないタイプの小説で新鮮だった。でも、この後続く2作(3部作のようだ)は読むかどうかは悩むかな〜。

者の解説を読むと、1973年を選んだのは、ヨハン・グスタフ・ノルリーン警視総監がいたからのようだ。公明正大な人物で人望があったが、一年足らずで警視総監を辞めさせられたそう。この小説で、ヴィンゲに捜査を依頼するのがこのノルリーンなのだ。作者は膨大な資料に基づく歴史小説と謳っているが、私はあまりそう感じなかった。1973年という情報がなれけば、現代に起きている事件と思ってしまう。

者であるヘレンハルメ美穂さんの名前は見覚えがあるなと思ったら、『ミレニアム』を訳されていた。確かにあれもスウェーデンだった。久しぶりに面白い作品が出たと思い3巻までは夢中になっていた。スティーグ・ラーソン氏が亡くなってから別の方が書いた4巻以降はまだ読んでいないけど、意外と評判も良いみたい。