書に耽る猿たち

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『夏への扉』ロバート・A・ハインライン/冷凍睡眠で生き長らえる未来

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夏への扉ロバート・A・ハインライン 福島正実/訳

ハヤカワ文庫 2020.9.23読了

 

SF古典小説の名作としてよく取り上げられているため、この作品の存在は知っていたがまだ未読だった。なんでも、日本で山崎賢人さん主演でもうすぐ映画が公開されるようで、最近書店でも平積みになっていることが多い。有名作はいずれ読まなくちゃと思っている身としては、これもきっかけと思い手に取る。

SFとはもちろん知っていたが、この猫の表紙とタイトルからどんな物語なんだろう?と想像しにくかった。が、やはり究極!のSFだった。時間軸を操るタイムトラベラー的なもの。おっくうなSF、そして結構昔の作品だから読みにくいだろうと構えていたが、割とスムーズに読み終えた。

凍睡眠(コールドスリープ)というアイデアで長期間人間の保存が可能になるというサイエンス。冷凍保存されたダンは、30年後の世界で何を見るのか。そして、タイムマシンを使って何をしようとするのか。SF好きにはたまらない設定にわくわくするファンも多いだろう。

もそも、人体冷凍保存というのは現代でもあるそうで、Wikipediaによると、2016年現在で世界で死後に冷凍しているという事例が350人もあるとか。この場合は、蘇生する技術が発見されたら解凍、治療するというものなので初めから生きた人間を冷凍するわけではない。なんか空恐ろしい感じがするけれど、ハインラインさんの「冷凍睡眠」というアイデアも遠い未来には現実になる可能性もあるのかと考えたり。

は、どちらかといえばSFは苦手な部類に入るのだけど、最近はSFの良さというか、ハマる人の気持ちも少しづつわかり始めている。なんというか、現実離れしているため、より想像力を掻き立てられ、高揚感が増す感覚がある。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は映画で1番と言っていいほど面白いと思うし、『スターウォーズ』の世界観も大好きだ。私の頭の中では、SFは映像から取り込むようになっているんだろうな、と思う。

れでも、文章でしか味わえない感動を求めて、いまだ未読の『ソラリス』や『幼年期の終わり』をそのうち読もうと思っている。あと、日本人で言えば、小川一水さんの作品なんかも。