書に耽る猿たち

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『郷愁』ヘルマン・ヘッセ/青春とお酒、そして本を読む時の気の持ちよう

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『郷愁』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳

新潮文庫 2020.10.21読了

 

ルマン・ヘッセさんの処女作であり出世作でもある『郷愁』、原題は『ペーター・カーメンチント』で主人公の名前である。いつも通り新潮文庫の表紙は野田あいさんのイラストで、なんとも言えぬ哀愁を帯びており、色合いも素敵だ。

郷やかつて過ぎ去った青春を懐かしむとともに、自然の美しさと儚さ、そして人間の孤独を丁寧に描いた作品だ。これがヘッセ氏27歳の時の作品とは信じがたい。むしろ、晩年の作品と聞いても納得出来るだろう。いくつか読んだヘッセ作品に比べて、抽象的であり少し難解な印象を受けるためにそう思うのかもしれない。

親が亡くなったときに父親からお酒を教わり、そこから大酒飲みになる。ペーターにとって酒は友だ。恋の失敗から酒魔に取り憑かれるペーターが印象的だった。

はあまりお酒が強くないので、記憶をなくす以前に頭が痛くなったりと具合が悪くなるのだが、お酒で気分転換出来る人が羨ましく思う。一方で飲まれてしまう人もいるわけで、、ほどほどが一番なのかもしれない。

ッセ氏の作品は今年何冊も読んでいるのに、何故だか今回はピンと来なかった。作品自体は素晴らしく文体も好みなのに、どうしてだろう?

そらく自分の気の持ちようなんだと思う。いつもは次に読む本を吟味して選ぶのに、今回は出かける直前にささっと選んだ。確かにその時も「ちょっと今はヘッセの気分じゃないかもな」とは感じたのだ。

理やり読んだとまでは言わないが、気分が乗らない本の時もある。こうして考えると「作品に感動できるか」「本から得られるものがあるか」というのは、自分自身の状態によるのだと強く感じる。本選びも時と場合を間違えないようにしなくては。

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