書に耽る猿たち

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『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー/当時は斬新だったろうなぁ

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アクロイド殺しアガサ・クリスティー 羽田詩津子/訳

ハヤカワ文庫 2020.11.29読了

 

し前からアガサ作品にハマっていて、読んでいない小説の中でおもしろそうなものを選んでいる。この『アクロイド殺し』はどうやらトリックに賛否両論があるとかで、刊行当時はかなり話題に上ったらしい。という知識だけはあった。ポアロシリーズの3作目。

の黒電話のダイヤルの写真が表紙になっているのだけど、私にはこれが「歯」に見えて、なんとなく不気味な感じをもっていた。しかしよく見ると数字とアルファベットが並ぶ丸いダイヤル。これが何かに関係してくるのだろうか。

アロは相変わらず、鋭い観察眼と巧みな話術で、手品のように人を惹きつける行動をする。真実だけを探るために。私は種明かしのわずか手前の段階でようやく犯人がわかったという初心者レベル。そもそも犯人探しをしながら読んでいない。読者に挑戦するミステリ作家にとっては良い読者ではない。

人が誰であれ私にとってはあまり大したことではなく、一つの文学作品として読みたい気持ちがある。そんな私ですらこの小説では犯人と動機が気になってしまった。まぁ、犯人が誰かということより、読者を巧みな罠に誘ったクリスティーさんに分配があがる。しかし、、、この作品を真似して作ったと思われる日本の超有名作家の小説を私は思い浮かべてしまった…。この点で私には新鮮さはなかったのは事実。

の小説の語り手かつポアロの助手役となるシェパード医師。彼の姉のキャロラインのなんと魅力的なこと!好奇心旺盛すぎて、近くにいたらうるさく感じるだろうけれど、彼女がポアロと組んだら無敵なのではと思う。どうやら、ミス・マープル(アガサさんのポアロと並ぶ2大シリーズのもう一つ)の原型となる女性のよう。マープルシリーズはまだ未読なので次はこちらにするか。

「フェアかアンフェアか」「アガサ・クリスティー最大の問題作」という宣伝文句がある時点でネタバレというか、ミステリーの醍醐味を味わい切れないという問題はあるのだけれど、それでもグイグイ読ませる安定のおもしろさなんだよなぁ。

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