書に耽る猿たち

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『スタイルズ荘の怪事件』アガサ・クリスティー/さぁ、ポアロ劇場はここから

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『スタイルズ荘の怪事件』アガサ・クリスティー 矢沢聖子/訳

ハヤカワ文庫 2021.1.11読了

 

探偵ポアロシリーズはちゃんと一話完結しているから、どれから読み始めてもいい。おもしろいと評判のもの、自分が興味のあるものだけを読むのも全然アリだ。私もそうで、今まで4作(過去に『ABC〜』も読んだから5作か)読んだのだけれど、これだけはなるべく早めに読んだ方がいいと思って、この『スタイルズ荘の怪事件』を読んだ。

アロシリーズを読んでいると、友人ヘイスティングスの名前がたびたび登場して気になるし、まさか最後の作品『カーテン』を間違って先に読むわけにはいかないから、このポアロ1作目を早いうちに読んでしまおう!と。

やー、これがとてもおもしろかった。初期の作品だからと思い期待していなかったのだが、導入から引き込まれて先が気になりぐいぐいと読ませる。イギリスの格調高い雰囲気が存分に味わえる古典的名作だ。内容については、探偵ものという性質上語れないのが残念だが…。ヘイスティングス!ようやく知ることができたポアロとの関係。探偵の片腕なのに、ポワロは捜査上の秘密を語らない、騙す、からかう…1話目から健在だった。そしてアガサさんは登場人物の幸せをちゃんと考えている。ポアロがどうやって犯人を炙り出すか、ちゃんと順序があるのだ。

品に入る前に、アガサさんの孫のマシュー・プリチャードさんがこのように語る。「いちばんそれらしい人物を疑い、それらしく見える人間がそんなことをするはずがないと読者を説得しようとするアガサ・クリスティーの試み」。この意味を考えながら念入りに読み進めた。そもそも、このマシューさんのこの文章自体が謎めいていることよ。

近はテレビドラマや映画でも、次の展開や犯人、動機を探りながら観てしまうのは、推理小説の読みすぎなのだろうか。相対的には推理小説は多くはないと思うのだけど、如何せん展開やストーリーを考えてしまうのだ。

の『スタイルズ荘の怪事件』はポアロシリーズの第1作目というだけでなく、クリスティーさんのデビュー作である。1920年にこの小説が刊行されたのだが、デビューから100年経ってもなお色褪せないことが素晴らしい。ひとまずポアロ1作目を読んでスッキリした~。

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