書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

『スクイズ・プレー』ポール・ベンジャミン|もっとオースターさんの探偵ものが読みたくなる

f:id:honzaru:20220904010956j:image

スクイズ・プレー』ポール・ベンジャミン 田口俊樹/訳 ★

新潮社[新潮文庫] 2022.9.4読了

 

んと、ポール・オースターさんが別名義で小説を書いていたなんて!Twitterでフォローしている方のツイート見て初めて知ったのだ。しかもこの作品はデビュー作にしてハードボイルドもの。

決まりの、探偵事務所に依頼人がやってくるところから始まる。タイトルが『スクイズ・プレー』だから野球を連想させる。そう、MVPを取ったこともある元メジャーリーガーのジョージ・チャップマンが依頼主だ。彼のところに命を狙う脅迫状が届いたというのだ。

人公である探偵マックス・クラインのなんとキザでタフガイなことか!ま、これもお決まりなんだけど、オースターさんが書くと妙におかしみが混じって、人間味あふれるキャラクターに仕上がる。ある会社の受付にいた痩せぎすの女性、たまたま乗り合わせたタクシー運転手、乗り込んできたギャングの手下、彼らと交わすマックスの会話はいちいちおもしろくクスっと笑ってしまう。

ポーツ観戦といえば私は野球が1番好きなのだが、メジャーリーグのスタジアムをまた訪れたいと思った。実は昔、会社の海外研修でニューヨークに行った時、松井秀喜さんを見るためにヤンキーススタジアムに行ってホームランを目の前で見たのに、その頃はそんなに野球観戦に興味がなかったのかホームランのことしか覚えていなく。メジャーリーグの雰囲気を今ならもっと味わえるのになぁ。出来れば大谷選手を見たい!

の作品がオースターさんのデビュー作ということだし、毛色の違う(しかも2作目以降はやめている)探偵ものということでそんなに期待してなかったのだけれど、かなり楽しめた!探偵ものも書けるなんて、もっと読みたい。やっぱりオースターさん、控えめに言っても最高(この文章を自分が発するとは…笑)。しかし、スクイズって野球用語のスクイズだけかと思っていたら…。

くあるこってりハードボイルドよりも読みやすい。チャンドラー作品に比べると軽く読めてサクサク。オースター作品を全部読んだわけではないが、中でもお気に入りは『ムーン・パレス』と『ブルックリン・フォリーズ』で、この作品はそれに次いで好きな小説になった。

もそも柴田元幸さん以外の方が訳したオースター作品は初めてだったが、なんとこちらも名訳者田口俊樹さん。やはり読みやすくそれでいて原文に漂う雰囲気も醸し出しているよう(原文は読めないけど、いつもの柴田さん訳で感じられるオースター臭がする)。

はこの本と一緒に新潮文庫からオースターさんの作品がもう一冊同時刊行されていて買ったのだけど(こちらは柴田元幸さん訳)、それはもう少し時間を置いてから読むことにする。

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com

honzaru.hatenablog.com