書に耽る猿たち

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『郵便局』チャールズ・ブコウスキー|仕事のあり方を考える

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『郵便局』チャールズ・ブコウスキー 都甲幸治/訳

光文社[光文社古典新訳文庫] 2023.3.8読了

 

に煙草に女に賭け事に…、自堕落で最低な暮らしをしている男だなと思いながらも、どこか憎めない、ある種自由奔放なこの人間らしさにいつの間にか魅了されてしまう。軽快でリズミカルな文章にいつのまにか引き込まれていく。

 

見、働くということに対して甘すぎると思える主人公(ブコウスキーさん本人)だが、もしかしたらこれが本来の人間の意思なのではないだろうか。自営業や会社役員の方を除くと、多くの人が理不尽な仕事のやり方を当たり前のようにこなし、これが異様だということに気づくことすらなく働いているのかもしれない。郵便局というお役所仕事を通じて書かれているが、どんな会社で働こうとも同じだろう。

 

の作品がブコウスキーのデビュー作のようである。以前『パルプ』を読もうとしたとき何故か途中で断念してしまったから、ブコウスキーの小説を読み終えたのは初めてだ。光文社古典新訳文庫に入るイメージではなかったから、見かけた時には驚いた。なんか、ブコウスキー作品はまだ新しい感じがする。

 

外の小説はやたらめったらと太字になっている単語やら文章が多い。特にアメリカ文学で多いように思う。あれって、本当に原文でも太字で書かれているのだろうか。日本の作品だと小説ではあまり見なくて、教養本であれば目にする。

 

便局といえば、私も学生の時に年賀状仕分けのアルバイトをやったことがある。確か2週間程度の勤務のはずだったが、その時パン屋さんのバイトをメインでやっており、パン切りスライサーで指を怪我してしまったため郵便局は3〜4日で辞めざるを得なかった。しかし、本当にキツイ仕事だった!集中力を要する仕事だからか、1時間に10分以上の休憩はあるんだけど、もう退屈なの何のって。ひたすら無心で仕分けをするって、、思考回路が止まってしまう。