書に耽る猿たち

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『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩|トルコ人の気質、トルコ文化に触れる

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『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩

新潮社[新潮文庫] 2023.5.15読了

 

み始めて何より驚いたのが、昨日まで読んでいた津村記久子さんの『水車小屋のネネ』でヨウム(オウムの一種)が半主役だったのに、この作品でもまたオウムが主要な登場人物(人物というか鳥)になっていること。またまた人の話す言葉を真似する賢い鳥。子供の頃は鳥類は苦手だったのだけれど、不思議と大人になってからは結構好きで高貴ささえ感じる。

 

ま私が行きたい海外の国は、トルコ、ポルトガル、イギリスの3か国である。イギリスはいろいろな面で昔から興味があるのだが、トルコとポルトガルは完全に海外文学から影響を受けている。

 

のトルコが舞台の19世紀末の話。トルコ皇帝からの招待で歴史文化研究のために留学した村田という男性の視点で語る異文化交流が物語の軸になる。「エフェンディ」というのは下宿人、「滞土録」というのは土耳古(トルコ)に滞在した記録。一見しただけではよくわからなくて、それでいて一生忘れないだろうインパクトあるタイトルって良いよなぁ。

 

トルコ人は何をするでもなくまる一日を過ごす。これほど「無為」ということに耐えられる心性は、その常軌を逸した太平楽は、私の理解の範疇を遥かに越えていた。(38頁)

 

田はトルコ人の気質やトルコ文化に触れながら、同時に多国籍で多神教のこの地を楽しみながら暮らす。同じ下宿人であるドイツ人のオットー、ギリシャ人のディミィトリス、そしてディクソン夫人、ムハンマドらと友情を育んでいく。友情には国境がないはずなのに、何故戦が起きるのか、何故人間は戦を起こすのだろう。

 

木香歩さんの作品は児童文学が多いと思っていたからそんなに多くは読んでいないのだが、彼女の書く文体はとても心地良い。この作品はだいぶ前に書かれたものであるがこの機会に読んで良かった。

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ルコに興味を持ったのは確実にオルハン・パムクの影響である。パムクの作品で一番好きなのは『無垢の博物館』であるが、よりトルコらしさが表れているのは『僕の違和感』であろう。トルコ・イスタンブールに興味がある方はこちらも是非。