書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(な行の作家)-貫井徳郎

『邯鄲の島遙かなり』貫井徳郎|イチマツ痣は永遠なり、日本に希望を

『邯鄲(かんたん)の島遙かなり』上中下 貫井徳郎 ★ 新潮社 2021.12.27読了 今年の9月から3ヶ月連続で刊行された貫井徳郎さん最大の長編小説で、執筆人生の記念碑的作品である。単行本で全3巻ととても長いのだが、読み始めると物語にガツンとのめり込み、と…

『壁の男』貫井徳郎/才能は関係ない、絵は描いた人の心を表す

『壁の男』 貫井徳郎 ★ 文春文庫 2019.11.16読了 小説の中に絵画作品が出てくるとき、私は大抵、こんな絵だろう、と勝手に想像してしまう。今回の、壁に絵を描き続ける男の絵は、アンリ・マティスのような絵か、はたまた話題のバスキアのような絵か。太い線…