書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(な行の作家)-西村賢太

『雨滴は続く』西村賢太|貫多は行くよどこまでも

『雨滴は続く』西村賢太 文藝春秋[文春文庫] 2024.01.25読了 西村賢太さんの遺作であり、最大の長編作が文庫になった。このろくでなしの堕落した北町貫多がまたもや主人公、そしてもちろん私小説。西村さんの作品は短編であれ中編であれほぼ私小説だから、…

『蝙蝠か燕か』西村賢太|没後弟子を極める

『蝙蝠か燕か』西村賢太 文藝春秋 2023.4.24読了 文芸誌に掲載された短編が3編収められた、西村賢太さん没後に刊行された作品集である。藤澤清造という作家のために生きる北町貫多の思想と行動が書かれた、西村さんお得意の私小説だ。 西村さんの作品は芥川…

「西村賢太さん一周忌追悼」田中慎弥さんトークショーに行ってきた

街区の再開発のため、東京駅八重洲口にある「八重洲ブックセンター」が今月末で営業を終了する。都内では神保町の三省堂書店、渋谷の丸善&ジュンク堂をはじめ、大型書店がまたしてもなくなることに、悲しみを隠しきれない。 西村賢太さんが亡くなられて一周…

『蠕動で渉れ、汚泥の川を』 西村賢太 / これぞ西村さんの私小説、人間らしさに溢れている

『蠕動で渉れ、汚泥の川を』 西村賢太 角川文庫 2019.3.24 読了 蠕動(ぜんどう)、あまり目にしない単語である。虫が付いているから虫の動きに関することだろうか。調べてみると、①ミミズなどの虫が身をくねらせてうごめきながら進むこと。②筋肉の収縮波が徐…