書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

◇ファンタジー

『嘘の木』フランシス・ハーディング|純真無垢な心でファンタジーを読む

『嘘の木』フランシス・ハーディング 児玉敦子/訳 東京創元社[創元推理文庫] 2022.6.22読了 フランシス・ハーディングさんの小説は前から気になっていた。児童文学のようだからちょっと手を出しにくかったのだが、この本が文庫になっていたのでようやく読…

『名もなき王国』倉数茂|現実と非現実の境界をしゃぼん玉のようにたゆたう

『名もなき王国』倉数茂 ポプラ社[ポプラ文庫] 2022.2.28読了 倉数茂さんという作家は初めて知った。帯に書かれた日本SF大賞、三島由紀夫賞ダブルノミネートの文字と、書店に飾ってあった「多くの書評家絶賛!」というのを見て思わず手に取ってみた。 著者…

『残月記』小田雅久仁|独特な世界観に魅せられる

『残月記』小田雅久仁 双葉社 2022.1.5読了 月の見方が変わってしまった。この本には、月にまつわる3つの中短編が収められている。巧みなストーリーテリングに感服し、本から立ち昇る不気味な様子がたまらない。こんな小説を書く人がいたなんて。小田雅久仁…

『雲上雲下』朝井まかて|古くから伝わる民話の復興を

『雲上雲下(うんじょううんげ)』朝井まかて 徳間文庫 2021.11.13読了 子供の頃にテレビで観た「まんが日本昔ばなし」を思い出した。必ずあのテーマ曲とセットだ。「ぼうや~ 良い子だ ねんねしな」という歌声とともに、竜に乗った男の子が画面いっぱいにな…

『複眼人』呉明益|地球規模のファンタジー

『複眼人』呉明益(ご・めいえき) 小栗山智/訳 KADOKAWA 2021.8.23読了 東京オリンピック2020で新しく「サーフィン」が競技登録された。まだ記憶に新しいと思うが、男子サーフィンで見事銀メダルを獲得した五十嵐カノアさんが、競技終了後に海に向かってひ…

『ラウィーニア』アーシュラ・K・ル=グウィン|古代ローマに生きる女性

『ラウィーニア』アーシュラ・K・ル=グウィン 谷垣暁美/訳 河出文庫 2021.2.15読了 実は私は『ゲド戦記』をちゃんと読んだことがない。アニメでも観ていない。ル=グウィンさんは『ゲド戦記』の作者であるが、他にも色々なSF・ファンタジー作品を残している…

『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』吉本ばなな/大人になって気付く大事なこととファンタジーの怖さ

『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』吉本ばなな 幻冬舎文庫 2020.12.8読了 哲学ホラーってなんだろう。哲学とホラーって似ても似つかないような気がするのだけれど、突き詰めて深入りすると実はどちらも混じり合っているかもしれなくて、久しぶりに吉本ばなな…

『堆塵館』エドワード・ケアリー/ケアリーの世界へようこそ

『堆塵館(たいじんかん) アイアマンガー三部作1』エドワード・ケアリー 古屋美登里/訳 東京創元社 2020.1.13読了 確かに書店に並んでいた時からこの表紙は印象深かった。でも、幻想文学かな、子供向けなのかな、となかなか読むまでに至らなかったのだ。…

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン / ホビットとドワーフと一緒にファンタジーの世界に

『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン 瀬田貞二/訳 岩波書店 2019.10.12読了 ハリーポッターシリーズはほとんど読んだけど、ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)シリーズは映画を少し観ただけで、原作は読んだことがなかった。『指輪物語』の前日譚とし…