書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

外国(サ行の作家)-ジョゼ・サラマーゴ

『見ること』ジョゼ・サラマーゴ|白票の意味するところは|賢明な言葉による豊穣さに心躍る

『見ること』ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰/訳 ★ 河出書房新社 2023.8.5読了 敬愛する作家の一人、ジョゼ・サラマーゴさんの小説が河出書房から新刊で刊行された。2004年に刊行された本書は、著者晩年81歳の時の作品で『白の闇』と対をなす物語となっている。 …

『だれも死なない日』ジョゼ・サラマーゴ|死がなくなることの恐ろしさと混乱

『だれも死なない日』ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰/訳 河出書房新社 2022.9.10読了 死はどうして恐ろしいのか。『火の鳥』(手塚治虫著)で永遠の命を欲しいと願っていた人たちは、何故死を恐れ、何のために永遠に生き続けたい(死にたくない)と思っていたの…

『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ|人間は一体何を見ているのか

『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ 雨沢泰/訳 河出書房新社[河出文庫] 2022.3.19読了 突然目が見えなくなってしまったら。今まで見えていた世界が白い闇に変わってしまったらどうなるのだろう。本を読むことを何よりも楽しみに生きている私にとってこれほどキ…

『象の旅』ジョゼ・サラマーゴ|人生は喝采と忘却

『象の旅』ジョゼ・サラマーゴ 木下眞穂/訳 ★ 書肆侃侃房 2022.2.25読了 ノーベル賞作家であるポルトガル人ジョゼ・サラマーゴさんのことはずっと気になっていて、まずは『白の闇』から読むべきかと思っていたのだが、この装丁に惹かれて思わず購入してしま…