書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(は行の作家)-堀江敏幸

『正弦曲線』堀江敏幸|恋してしまったらしい

『正弦曲線』堀江敏幸 ★ 中公文庫 2021.7.7読了 著者の堀江敏幸さんは、三角関数のサイン、コサイン、タンジェントの「サイン」を書くときには必ず日本語で「正弦」と括弧付きで入れるそうだ。日本語のその響きと、漢字そのものの美しさを愛する所以だろう。…

『いつか王子駅で』堀江敏幸|疾走するのに和む堀江さんマジック

『いつか王子駅で』堀江敏幸 新潮文庫 2021.4.6読了 まるで谷崎潤一郎さんの『春琴抄』のように、一文がひたすら長い。私が今まで読んだ堀江さんの2作に比べても圧倒的な長さである。それでも、独特の言い回しとリズムのある文体が心地良く、いつしか読みや…

『河岸忘日抄』堀江敏幸|船での日々の営み

『河岸忘日抄(かがんぼうじつしょう)』堀江敏幸 新潮文庫 2021.3.4読了 先月読んだ堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』がぴたりと好みに合っていたから、2冊めを手に取る。読売文学賞を受賞された長編である。これは小説なのか随筆なのか、エッセイなのか。…

『雪沼とその周辺』堀江敏幸|品のある美しい文体を味わう

『雪沼とその周辺』堀江敏幸 ★ 新潮文庫 2021.2.6読了 現代日本における偉大な作家の1人である堀江敏幸さん。芥川賞を始め数多の文学賞を受賞し、早稲田大学の教授も務めている。現在では文学賞の選考委員もされている堀江さんは名前をよく目にするのだが、…