書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

◇芸術

『運命の絵 もう逃れられない』中野京子|強く印象に残る絵

『運命の絵 もう逃れられない』中野京子 文藝春秋[文春文庫] 2022.4.13読了 3年近く前に、東京・上野で開催された「コートルード美術館展」を訪れた。まだコロナが始まる前で美術館はどこも混雑しており、本当は近くで開催されていた別の美術展を観に行く…

『サロメ』原田マハ/破滅するほどの愛が美麗で狂気な絵に

『サロメ』原田マハ 文春文庫 2020.6.21読了 聖書の一場面を独自にアレンジした『サロメ』は、オスカー・ワイルド氏による戯曲である。本当は、先に読むなり知識を深めてからこの小説を読むべきだったかなと思う。しかし、プロローグにて詳細に概要が語られ…

『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』大島真寿美 / もっと浄瑠璃の世界にいざなえたまえ

『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』 大島真寿美 文藝春秋 2019.9.26読了 第161回直木賞受賞作。大島さんの名前は初めて知った。と、カバー裏表紙を見たら、過去の小説に『ピエタ』とあった。あ、この作品は書店に並んでるのを見たことがある。読んでない作品でも見…

『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ / 優れた芸術作品を世に広める人たち

『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ 文藝春秋 2019.9.8読了 東京、上野にある国立西洋美術館で現在展示されている「松方コレクション」を観る前に、読んでおこうと思った。おそらく、この本も展示に合わせて発売されたのだろう。日本に、西洋の優れた…

『ゴッホの手紙』 上 エミル・ベルナール編 ・中下 J.vゴッホ-ボンゲル編 / 固い握手を送る

『ゴッホの手紙』上(ベルナール宛)エミル・ベルナール編 中下(テオドル宛)J.vゴッホ-ボンゲル編 硲 伊之助/訳 岩波文庫 2019.4.20読了 なんて素敵な表紙なんだろう。こんな本はブックカバーを着けずに持ち歩きたくなる。ゴッホの絵は、日本人にとっても…