書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(ま行の作家)-宮部みゆき

『悲嘆の門』宮部みゆき/言葉の持つ力

『悲嘆の門』上中下 宮部みゆき 新潮文庫 2020.6.2読了 大学の先輩に誘われ、サイバー・パトロール会社でアルバイトをすることになった大学生の三島孝太郎。ネット社会の闇を調べるうちに、世間を賑わしている連続殺人事件だけでなく身の回りにも事件が起こ…

『龍は眠る』宮部みゆき/サイキックは生きづらい

『龍は眠る』宮部みゆき ★ 新潮文庫 2020.4.18読了 先月読んだ『魔術はささやく』に次いで、これも宮部みゆきさんのかなり初期、1992年に書かれた作品だ。およそ30年前かぁ、こう考えると宮部さんは、筆力が衰えることもなくずっと第一線で活躍されていて本…

『魔術はささやく』宮部みゆき/読者が宮部さんの魔術にかかる

『魔術はささやく』宮部みゆき 新潮文庫 2020.3.3読了 宮部さんの作品は数え切れないほど読んでいるのに、思えば、宮部さんの作家生活でかなり初期にあたる本作はまだ未読だった。この作品で1989年に日本推理サスペンス大賞を受賞している。 なんだか松本清…

『この世の春』宮部みゆき/時代ものファンタジー、するりと物語世界へ

『この世の春』上中下 宮部みゆき 新潮文庫 2019.12.6読了 宮部みゆきさんの小説を読むのは久しぶりである。『小暮写真館』以来か、はたまた、文庫で読んだ『荒神』以来かもしれない。何となく、宮部節を読みたくなり手に取った。 今回の小説は時代小説だ。…