2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
『ミチクサ先生』上下 伊集院静 講談社[講談社文庫] 2023.7.26読了 ミチクサ先生とは、国民的作家夏目漱石のこと。幼少期から、生家と養家を往来し、学校を何度も変わり、ミチクサをしてきた。ミチクサは、大人になってからも続いた。 勉学も生きることも…
『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 村上春樹/訳 新潮社[新潮文庫] 2023.7.23読了 ポップで爽快感のあるアメリカ文学を読みたくなった。村上春樹さんが訳したものを欲していたという理由もある。新潮文庫の100冊とか、今回のようなプレミア…
『それは誠』乗代雄介 文藝春秋 2023.7.22読了 私は関東地方に住んでいるので、中学生のときは京都、高校生の時は北海道が修学旅行先だった。札幌も楽しかったけど圧倒的に記憶に残っているのは中学生の時の京都旅行だ。今でも連絡を取り合う仲の良い友達と…
『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ 中央公論新社[中公文庫] 2023.7.20読了 2021年の本屋大賞受賞作。気になりつつも読めていなかったが、文庫化されてさっそく手に取った。クジラの形をした栞がかわいい。「感動した」とか「泣きながら読んだ」と絶賛さ…
『ローラ・フェイとの最後の会話』トマス・H・クック 村松潔/訳 早川書房[ハヤカワ・ミステリ文庫] 2023.7.19読了 語り手のルークは、自身とその家族を悲しみの底に突き落とす原因となったローラ・フェイと再会しお酒を飲み交わすことになった。事件が起…
『事件』大岡昇平 東京創元社[創元推理文庫] 2023.7.14読了 法廷ものを久しぶりに読んだ。来月、WOWOWで椎名桔平さん主演のドラマが放映されるようで、この文庫本のカバーの上に、まるっとカバーがかけられている(全面広告カバーは好きでないので外して写…
『家族じまい』桜木紫乃 ★ 集英社[集英社文庫] 2023.7.11読了 家族じまいーー 何気ない言葉だけれど「家族を終わらせる」ということだろうか。「じまい」には「仕舞い」「終い」のどちらの字も充てることができるが、両方とも「終わり」を表している。家族…
『ルクレツィアの肖像』マギー・オファーレル 小竹由美子/訳 ★ 新潮社[新潮クレスト・ブックス] 2023.7.9読了 ひとつの絵画と曰く付きのエピソードから、こんなにも豊かでスリルあふれる物語を生み出せるとは。数ページ読んだだけで虜になり、最後の頁ま…
『三の隣は五号室』長嶋有 中央公論新社[中公文庫] 2023.7.6読了 第一藤岡荘という古いアパートに住んだ多くの人々がいる。連作短篇集とはちょっと違って、部屋にあるもの(というか生活に欠かせないけれど脇役である何か)がバトンをつないでいくような感…
『時々、慈父になる。』島田雅彦 集英社 2023.7.5読了 3年ほど前に島田雅彦さんの自伝的小説『君が異端だった頃』を読んだ。自身のことを「君」として、いささか(というかかなり)自己愛・自信に満ちた語りが島田さんらしかった。今回の自伝的小説は一人息…
『無垢の時代』イーディス・ウォートン 河島弘美/訳 岩波書店[岩波文庫] 2023.7.3読了 アメリカの資本主義が急速な発達を遂げた1870年代、ニューヨークに新興富裕層が台頭し、新しい波が古い世界に押し寄せた、変化する時代の物語である。もともと新潮文…
『辮髪(べんぱつ)のシャーロック・ホームズ 神探福邇(しんたんフーアル)の事件簿』莫理斯(トレヴァー・モリス)舩山むつみ/訳 ★ 文藝春秋 2023.6.29読了 パスティーシュとは「作風の模倣」のことで、文学だけでなく芸術作品に多く用いられている。文学…