書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(さ行の作家)-西條奈加

『無暁の鈴』西條奈加|転落した人生のその先にあるものは

『無暁の鈴(むぎょうのりん)』西條奈加 光文社[光文社文庫] 2024.01.10読了 主人公の数奇な運命、転落していく物語は確かに読者を魅了し熱狂させる。人の不幸を嘲笑いたいわけでも、自分のほうがマシだと安心したいわけでもないと思う。この先、彼がどう…

『心淋し川』西條奈加|淋しさは人間独特の感情で、良いじゃないか

『心淋し川(うらさびしがわ)』西條奈加 ★ 集英社[集英社文庫] 2023.11.2読了 第164回直木賞受賞作品である。文庫になってからなのでだいぶ遅くなってしまったが、心温まり気持ちが晴れやかになる充実した読書時間となった。連作短編は読みやすい反面しば…