書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

外国(ハ行の作家)-ヘルマン・ヘッセ

『郷愁』ヘルマン・ヘッセ/青春とお酒、そして本を読む時の気の持ちよう

『郷愁』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 2020.10.21読了 ヘルマン・ヘッセさんの処女作であり出世作でもある『郷愁』、原題は『ペーター・カーメンチント』で主人公の名前である。いつも通り新潮文庫の表紙は野田あいさんのイラストで、なんとも言…

『知と愛』ヘルマン・ヘッセ/相反するものは表裏一体

『知と愛』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 2020.7.7読了 今年の4月以降、ヘッセ作品を読みあさっている。一貫して言えるのが、人間が生きることの意味を説いていること。特に本作品は信仰・哲学的な面がなお一層強く現れている。 原題は『ナルチス…

『青春は美わし』ヘルマン・ヘッセ/野田あいさんのイラストもうるわし

『青春は美わし(うるわし)』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 2020.6.14読了 再びヘッセ氏の小説を読んだ。表題作『青春は美わし』と『ラテン語学校生』という二編の短編が収められている。どちらも、若く瑞々しい青春の香り漂う作品である。 「う…

『春の嵐』ヘルマン・ヘッセ/自分の人生を振り返るとき

『春の嵐』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 2020.5.20読了 あまり日を置かず、またヘッセ氏の小説を読んだ。最近の私のお気に入りのヘルマン・ヘッセ本、先日書店で4冊まとめて買ったのだ。ほとんどが新潮文庫で手に入るからわかりやすくていい。 こ…

『デミアン』ヘルマン・ヘッセ/自我の追求

『デミアン』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 ★ 新潮文庫 2020.5.10読了 はじめにヘッセ氏が語る「はしがき」がある。わずか3ページの文章なのだが、これがとても心に響く。はしがきに感動することなんて滅多にない。「すべての人間の生活は、自己自身への道…

『車輪の下』ヘルマン・ヘッセ/悲劇なのに清々しい気持ちになれる

『車輪の下』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 ★★ 新潮文庫 2020.4.29読了 世界の古典名作を読もう、ということで『車輪の下』を読んだ。ヘッセ氏の作品は10代の頃に読んだ記憶があるが、何を読んだのかどんな話だったか全く覚えていない。この作品は、ヘッセ…