◇自伝・評伝
『中原中也との愛 ゆきてかへらぬ』長谷川泰子 村上護/編 KADOKAWA[角川ソフィア文庫] 2025.07.14読了 先日窪美澄さんの『夏日狂想』を読んで長谷川泰子さん(小説では野中礼子)に俄然興味を持った。実際の長谷川泰子さんはどんな人だったのだろうか。こ…
『ベートーヴェンの生涯』ロマン・ロラン 片山敏彦/訳 岩波書店[岩波文庫] 2025.06.17読了 耳が聴こえないのに「運命」を作ったベートーヴェン、目が見えないのに「睡蓮」を描いたモネ。彼らには普通の人には見えない何が見えて(感じて)いたのだろう。 …
『エリック・ホッファー自伝 構想された真実』エリック・ホッファー 中本義彦/訳 作品社 2025.03.17読了 東京都品川区・東急東横線不動前駅 に「フラヌール書店」という独立系書店がある。書籍の多さからどうしても大型書店に行くことが多いのだが、独立系…
『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』メイソン・カリー 金原瑞人、石田文子/訳 フィルムアート社 2024.11.09読了 あまりにも物語世界に浸り続けると疲れてしまうので、ちょっと休憩してエッセイを読んだ。少し前にX…
『海峡 海峡幼年篇』『春雷 海峡少年篇』『岬へ 海峡青春篇』伊集院静 新潮社[新潮文庫] 2024.09.21読了 伊集院静さん追悼の帯がかけられて重版されていた。表紙のタイトルの文字は伊集院さん自ら筆を取った字のようで、なんと達筆で多才な方よと思う。伊…
『ガープの世界』上下 ジョン・アーヴィング 筒井正明/訳 ★ 新潮社[新潮文庫] 2024.08.17読了 いつか読みたいなとずっと思っていた作品。西加奈子さんを始めとして多くの方が絶賛し、アーヴィングの名を世界中に知らしめた作品だ。自伝的小説ということで…
『二人キリ』村山由佳 ★ 集英社 2024.03.11読了 ここ半年以内に、NHKの松嶋菜々子さんがプレゼンテーター役をしている番組で、阿部定事件のことが放映されているのを見た。昔世間を騒がせた事件だが、不思議と阿部定に同情を寄せたり敬する声も多い。こんな…
『タスマニア』パオロ・ジョルダーノ 飯田亮介/訳 ★ 早川書房 2024.03.07読了 最近どうも広島や長崎、つまり戦争や原爆にまつわる書物をよく目にするし、自分でもおのずと選んでしまっている気がする。それだけ心の奥底で意識しているということだろうか。…
『オッペンハイマー』[上]異才[中]原爆[下]贖罪 カイ・バード,マーティン・J・シャーウィン 山崎詩郎/監訳 河邉俊彦/訳 ★★ 早川書房[ハヤカワ文庫NF] 2024.03.02読了 昨年広島旅行をした。広島を訪れるのは初めてで、観光名所を中心に見どころを…
『結婚/毒 コペンハーゲン三部作』トーヴェ・ディトレウセン 批谷(ひたに)玲子/訳 ★ みすず書房 2023.12.02読了 デンマークの作家といえば、アンデルセンがぱっと思い浮かぶ。というか、他に誰がいるだろう?首をひねっても出てこない。このトーヴェ・デ…
『美は乱調にあり 伊藤野枝と大杉栄』瀬戸内寂聴 ★ 岩波書店[岩波現代文庫] 2023.10.21読了 村山由佳さんの『風よあらしよ』を読んで、伊藤野枝さんの熱い人間性とその生き方に圧倒された。この作品は、故瀬戸内寂聴さんが94歳の時に、ご自身が「今も読ん…
『フリアとシナリオライター』マリオ・バルガス=リョサ 野谷文昭/訳 ★ 河出書房新社[河出文庫] 2023.9.21読了 これがリョサの作品だとは思えないほどポップな青春ものだった。どうやら半自伝的小説とのことで、主人公の名もマリオ(リョサ自身)そのもの…
『ミチクサ先生』上下 伊集院静 講談社[講談社文庫] 2023.7.26読了 ミチクサ先生とは、国民的作家夏目漱石のこと。幼少期から、生家と養家を往来し、学校を何度も変わり、ミチクサをしてきた。ミチクサは、大人になってからも続いた。 勉学も生きることも…
『時々、慈父になる。』島田雅彦 集英社 2023.7.5読了 3年ほど前に島田雅彦さんの自伝的小説『君が異端だった頃』を読んだ。自身のことを「君」として、いささか(というかかなり)自己愛・自信に満ちた語りが島田さんらしかった。今回の自伝的小説は一人息…
『樋口一葉赤貧日記』伊藤氏貴 中央公論新社 2023.3.16読了 先日川上未映子さんがTwitterでこの本をおすすめしていた。確か新幹線での移動中で2巡目を読んでいたと思う。川上さんは樋口一葉著『たけくらべ』の口語訳も手掛けているから思い入れも強いはずだ…
『太陽の男 石原慎太郎伝』猪瀬直樹 中央公論新社 2023.3.12読了 石原慎太郎さんが亡くなって約1年、元東京都知事で作家の猪瀬直樹さんが石原さんの評伝を執筆した。作家としての石原さんと猪瀬さんは、三島由紀夫さんのことを本に残しているという共通点が…
『春』島崎藤村 新潮社[新潮文庫] 2023.1.18読了 島崎藤村著『破戒』を読んだのはいつだったかなと振り返ると、2年近く前だった。次は大作『夜明け前』を読もうと思っていたのに、さらっと一冊で読めるかと今回は『春』を選んだ。なんせ、まだコロナ明け(…
『君がいないと小説は書けない』白石一文 新潮社[新潮文庫] 2022.9.13読了 敬愛する作家の一人、白石一文さんの自伝的小説を読んだ。単行本刊行時から気になっていたが、確かあの時はほぼ同時に刊行された島田雅彦さんの作品(これも自伝的小説)を手に取…
『ルコネサンス』有吉玉青 集英社 2022.9.3読了 著者の有吉玉青さんは有吉佐和子さんの娘である。お母さんの佐和子さんの作品は結構好きで何冊か読んでいるが、娘さんも小説を書いていたのは知らなかった。玉青と書いて「たまお」と読むこの名前がとても素敵…
『杏っ子(あんずっこ)』室生犀星 新潮社[新潮文庫] 2022.8.21読了 小学校か中学校の国語の教科書で室生犀星さんの詩が出てきたのを覚えている。「ふるさとは遠きにありて思ふもの」という書き出しだけで、詩自体の内容は全く覚えていないけど…。詩人、小…
『遠い声 遠い部屋』トルーマン・カポーティ 河野一郎/訳 新潮社[新潮文庫] 2022.8.11読了 アメリカ文学が無性に読みたくなり、手にしたのがこの本。カポーティさんの自伝的小説のようである。表紙の写真からは雄大な土地と空が立体的に感じられ、雰囲気…
『約束の地 大統領回顧録 Ⅰ 』上下 バラク・オバマ 山田文 三宅康雄・他/訳 ★ 集英社 2021.4.24読了 発売されてすぐに購入していたのが、なんだか読むのが勿体ないような、心を落ち着けてこれに挑む準備をしてからにしよう、など思っているうちに2ヶ月くら…
『喜嶋先生の静かな世界』森博嗣 講談社文庫 2021.2.27読了 森博嗣先生(何故だか先生と呼びたくなるし、そのほうが合っていると思うのだ)の本を読むのは久しぶりだ。小説に夢中になり始めた頃にほとんどの人が通るのが森先生の作品群ではないだろうか。膨…
『マーティン・イーデン』ジャック・ロンドン 辻井栄滋/訳 白水社 2021.2.20読了 ジャック・ロンドン氏の作品で最も有名なのは『野性(荒野)の呼び声』だろう。私も去年読み、大自然の雄大さと生きるエネルギーを堪能した。この『マーティン・イーデン』は…
『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』東浩紀 中公新書 2021.2.13読了 多くの方がこの本を紹介され、かつ絶賛されているため、私も気になり読んでみた。「ゲンロン」という思想誌や「ゲンロンカフェ」という企画が存在することは知っていたが何をやっている…
『言葉を離れる』横尾忠則 講談社文庫 2020.12.29読了 やはり表現者だなぁと心底思う。文章は長ったらしく句読点も少なくて読みにくいのに、人の心を掴む魂を紡いでくる。美術家、横尾忠則さんのエッセイだ。それもある意味「本」「言葉」に対する否定の書と…
『日本の近代 猪瀬直樹著作集2 ペルソナ 三島由紀夫伝』猪瀬直樹 ★ 小学館 2020.12.12読了 三島文学が大好きと豪語しているわりには、彼のことを外から評したものをちゃんと読んだことがなかった。特集を映画やテレビで観たり、文芸誌などで読む程度だ。こ…
『日日是好日(にちにちこれこうじつ) ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせー』 森下典子 新潮文庫 2020.11.6読了 朝日新聞が、本のための情報サイトとして「好書好日(こうしょこうじつ)」を運営している。たまに見ることがあるのだが、「好日」繋がり…
『風よあらしよ』村山由佳 ★ 集英社 2020.10.19読了 婦人解放運動家、アナキストである伊藤野枝(のえ)さんを描いた評伝小説である。少し前に、瀬戸内寂聴さんの『かの子繚乱』を読み、寂聴さんが書く他の評伝も読みたいと思っていた。伊藤野枝さんの生涯を…
『新装版 かの子撩乱』瀬戸内寂聴 講談社文庫 2020.8.29読了 先日井上荒野さんの『あちらにいる鬼』を読んで、瀬戸内寂聴さんの小説を読みたいと思っていた。本当は代表作『夏の終わり』を先に読もうとしていたのだが、本屋でパラパラ見ていたら講談社文庫か…