書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(あ行の作家)-小川洋子

『あとは切手を、一枚貼るだけ』小川洋子 堀江敏幸|手紙の世界でひとつに繋がる

『あとは切手を、一枚貼るだけ』小川洋子 堀江敏幸 中央公論新社[中公文庫] 2022.10.26読了 手紙だけでやり取りをする男女の往復書簡小説である。小川洋子さんと堀江敏幸さんがそれぞれのパートを務めている。なんと、事前にストーリーを組み立てることも…

『最果てアーケード』小川洋子|余韻を楽しめ、優しい気持ちになれる

『最果てアーケード』小川洋子 講談社[講談社文庫] 2022.3.22読了 ほんの数ページ読んだだけで、小川洋子さんの書く可憐で美しい、そして儚げな文体に落ち着きを感じる。心にストンと落ちていく。ゆっくりと、一つ一つの文章を噛み締めながら読んでいく。 …

『ゴリラの森、言葉の海』山極寿一 小川洋子|因果という考えを持たないゴリラ

『ゴリラの森、言葉の海』山極寿一 小川洋子 新潮文庫 2021.11.16読了 霊長類学者の山極寿一(やまぎわじゅいち)さんと、小説家小川洋子さんの対談集である。なんと、ゴリラにまつわるもの。猿好きとしてはもちろんたまらない。山極先生は、ゴリラ研究の第…

『不時着する流星たち』 小川洋子 / ストーリーには必ずモデルがある

『不時着する流星たち』 小川洋子 角川文庫 2019.8.1読了 小川 洋子さんの小説は繊細だ。長編小説でもそうだが、短編であればなおさら、丁寧に扱わないと壊れそう。小説が、本が、壊れるという表現はおかしいのに、何故だかそう思わせる。 この短編集は、そ…