書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『スモールワールズ』一穂ミチ|『世にも奇妙な物語』のようなドラマにぴったり

『スモールワールズ』一穂ミチ 講談社[講談社文庫] 2023.11.24読了 一穂ミチさんの作品は直木賞候補や本屋大賞候補にもなったから、気になっていた作家さんの1人だ。単行本と同じジャケットで、初版限定で特製しおりが挿入されていた(写真で本の上にある…

『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直|真実と虚構の間を彷徨い、頭がぐらぐら。それが楽しい。

『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直 河出書房新社[河出文庫] 2023.11.23読了 いやはや、文庫になるの早すぎでしょ。単行本が出てから2年あまりで文庫化されている。読売文学賞を受賞しているからか。ともあれ単行本を買うかかなり悩んでいた私に…

『ルポ路上生活』國友公司|太ったホームレスがいるんです

『ルポ路上生活』國友公司 彩図社 2023.11.20読了 住む場所の近くに、散歩やジョギングが出来るような道があるかどうかは私にとって結構大きなポイントになる。できれば信号を渡る回数が少なく、なるべく見晴らしがいいコースが良い。そうでないと、家を出る…

『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』ガブリエル・ゼヴィン|愛おしい友愛の物語

『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』ガブリエル・ゼヴィン 池田真紀子/訳 ★ 早川書房 2023.11.19読了 私は今まで生きてきて、ゲームに関わった時間はほんの僅かしかない。小学生の頃に姉妹で一緒にゲームボーイを持っていたのと、友達…

『神よ憐れみたまえ』小池真理子|百々子の数奇な運命はいかに

『神よ憐れみたまえ』小池真理子 新潮社[新潮文庫] 2023.11.15読了 久しぶりに小池真理子さんの小説を読んだ。彼女の本は恋愛コテコテのものが多くてなんとなく遠のいていたのだけど、この本はどっぷりと物語世界に浸れるなかなか骨太の作品であった。表紙…

『ドラキュラ』ブラム・ストーカー|精神医学の見地から解き明かす

『ドラキュラ』ブラム・ストーカー 唐戸信嘉/訳 ★ 光文社[光文社古典新訳文庫] 2023.11.12読了 ドラキュラって、ちゃんと原作を読んだことないよなぁ…。夜になると人間の血を吸う吸血鬼になること、黒いマントをたなびかせ牙を剥く姿、そしてディズニー映…

『サキの忘れ物』津村記久子|本は「おもしろい」とか「つまらない」だけではない

『サキの忘れ物』津村記久子 新潮社[新潮文庫] 2023.11.7読了 サキという人が忘れた物のことではない。O・ヘンリーと並んで短編の名手とも言われている「サキ」という海外小説家の本が喫茶店に忘れられていた。私はサキの作品はまだ読んだことがない。 小…

『亡霊の地』陳思宏|思考すればするほど安楽から遠のく

『亡霊の地』陳思宏(ちんしこう) 三須祐介/訳 早川書房 2023.11.5読了 最近台湾関連の作品は数多い。台湾人が書いたものもあれば日本人が書いたものも多い。どれもがゆるやかで優しいイメージがつきまとう。どこか馴染みのある、妙に落ち着く印象を持つの…

『心淋し川』西條奈加|淋しさは人間独特の感情で、良いじゃないか

『心淋し川(うらさびしがわ)』西條奈加 ★ 集英社[集英社文庫] 2023.11.2読了 第164回直木賞受賞作品である。文庫になってからなのでだいぶ遅くなってしまったが、心温まり気持ちが晴れやかになる充実した読書時間となった。連作短編は読みやすい反面しば…

『運河の家 人殺し』ジョルジュ・シムノン|シムノン独特の文体でゾワリと怖気立つ

『運河の家 人殺し』ジョルジュ・シムノン 森井良/訳 幻戯書房[ルリユール叢書] 2023.10.31読了 著者ジョルジュ・シムノンは、フランスの大作家である(国籍はベルギー)。ハヤカワ文庫で「メグレ警視」シリーズが新訳で復刊されているのを見て、恥ずかし…

『コスモポリタンズ』サマセット・モーム|毎日寝る前に1作づつ読みたい

『コスモポリタンズ』サマセット・モーム 龍口直太郎/訳 筑摩書房[ちくま文庫] 2023.10.29読了 アメリカの月刊雑誌『コスモポリタン』に1924年から1929年にかけて掲載された短編をまとめたものである。序文のなかでモームは「ただこれらの物語を面白いと…