書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(は行の作家)-福永武彦

『風土』福永武彦|自分が自分自身になる

『風土』福永武彦 小学館P+D BOOKS 2021.6.9読了 去年初めて福永武彦さんの小説を読み、特に『忘却の河』に圧倒され、今でも読み終えた時の衝撃と感動は憶えている。その福永さんの処女長編作品がこの『風土』である。24歳の時にこの作品の着想を得て、約10…

『忘却の河』福永武彦/罪を背負い生きていく

『忘却の河』福永武彦 ★★ 新潮文庫 2020.9.28読了 先日読んだ『草の花』にとても心を奪われたので、同じく多くの人に読み継がれている福永武彦さんの『忘却の河』を読了した。 なんという小説だろう。読み終えた今も、余韻を楽しむというか、ぼうっと虚ろな…

『草の花』福永武彦/孤独な生きもの

『草の花』福永武彦 ★ 新潮文庫 2020.8.17読了 なんの本だったか忘れてしまったが、この福永武彦さんの『草の花』が出てきて、ずっと気になっていた。恥ずかしながら、福永武彦さんのことは今まで知らずにいたのだけれど、戦後の日本文学に大きな影響を与え…