書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(か行の作家)-川上未映子

村上春樹×川上未映子「春のみみずく朗読会」に行ってきた

先週のことになるが、3月1日(金)に、早稲田大学大隈記念講堂にて開催された「村上春樹×川上未映子 春のみみずく朗読会」に行ってきた。おそらく、私の書に耽る関連では今年のメインイベントの一つになるであろう。 早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラ…

『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』川上未映子|母娘の関係性、身体の生理現象

『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』川上未映子 筑摩書房[ちくま文庫] 2023.8.8読了 挑発的なタイトルと表紙である。この本は「詩集」とジャンル分けされている。頁をめくると確かに詩に見えるものもあるが、短編のようにも感じられる。『乳と卵』で…

『黄色い家』川上未映子|人間のなかのある部分、表現できないうやむやな感情

『黄色い家』川上未映子 ★★ 中央公論新社 2023.4.19読了 遅ればせながら、ようやく読み終えた。いつものことだけど、新刊発売日から間をあけずすぐに購入するくせに、勿体ぶっているのかなんなのか、しばらく放置する。で、ようやく周りのざわざわが一通り落…

『樋口一葉赤貧日記』伊藤氏貴|底辺の人びとを描く貧困のリアリズム

『樋口一葉赤貧日記』伊藤氏貴 中央公論新社 2023.3.16読了 先日川上未映子さんがTwitterでこの本をおすすめしていた。確か新幹線での移動中で2巡目を読んでいたと思う。川上さんは樋口一葉著『たけくらべ』の口語訳も手掛けているから思い入れも強いはずだ…

『ウィステリアと三人の女たち』川上未映子|女性の複雑な心理と闇

『ウィステリアと三人の女たち』川上未映子 新潮文庫 2021.5.2読了 大好きな川上未映子さんの文庫本新刊である。川上さんの本は毎年1冊は読んでいると思っていたのに、去年は読んでいなかったみたいだ。『夏物語』では毎日出版文化賞を受賞され、海外でも多…

『みみずくは黄昏に飛びたつ』川上未映子・村上春樹/小説は信用取引で成り立つ

『みみずくは黄昏に飛びたつ 川上未映子 訊く/村上春樹 語る』 川上未映子・村上春樹 新潮文庫 2019.12.10読了 村上春樹さんの小説のなかで、私の一番のお気に入りは、『騎士団長殺し』である。刊行されたのとほぼ同じくして、この対談集も単行本で書店に並…

『夏物語』 川上未映子 / 人はどのようにして、どのような想いで子どもを産むのか

『夏物語』 川上未映子 ★★ 文藝春秋 2019.8.14読了 芥川賞を受賞した『乳と卵』と繋がっている話のようだ。川上未映子さんの作品を初めて読んだのが『乳と卵』だったので、比較的覚えていた。第一部はほとんど続きといってもいいような感じで、途中に日記が…