書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

◇私小説

『家族のあしあと』椎名誠/ほっこり、ほっこり

『家族のあしあと』椎名誠 集英社文庫 2020.9.17読了 藤井聡太さんが最初にメディアに登場するようになったのは、2016年に史上最年少でプロ棋士になった時だ。今の二冠タイトルも仰天、快挙だが、当時は14歳でまだ素朴な少年だったからより目立っていたと思…

『君が異端だった頃』島田雅彦/いけ好かないけどやりおるな

『君が異端だった頃』島田雅彦 ★ 集英社 2020.3.1読了 「君」とは作者である島田さん自身のことで、この本は自伝的私小説である。一度島田さんの対談を聴きに行ったことがあるが、巧みな話術と知性、そしてあのルックス、やはりモテそうな人だと思った。この…

『夜の歌』なかにし礼/過去の作品と重なる自伝小説

『夜の歌』上下 なかにし礼 講談社文庫 2020.2.11読了 なかにし礼さんの自伝的小説だ。26歳で入院した時にゴーストという存在に初めて出会い、過去と現在とを行き来するストーリーになっている。この作品は雑誌に掲載されたようだが、書き始めたのも、度重な…

『錨を上げよ』百田尚樹/知性を持った破天荒な作田又三の冒険

『錨を上げよ』 百田尚樹 ★ 〈一〉出航篇 〈二〉座礁篇 〈三〉漂流篇 〈四〉抜錨篇 幻冬舎文庫 2019.12.23読了 百田尚樹さんの自伝的小説が文庫本になった。百田さんおなじみの幻冬舎である。幻冬舎のイメージがあるのは、やしきたかじんさんのフィクション…

『永在する死と生』柳美里 / 伴侶とともに生きていく

『柳美里 自選作品集 第一巻 永在する死と生』柳美里 ★ KKベストセラーズ 2019.11.20読了 柳美里さんの作品は好きなのだが、実はまだ『命』4部作を読んでいなかった。新潮文庫から刊行されている4冊は、今や書店にはなく、仕方なく中古でもいいからと考え…