書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(な行の作家)-西加奈子

『くもをさがす』西加奈子|大切なのは自分の身体と心を愛おしく思うこと

『くもをさがす』西加奈子 河出書房新社 2023.6.26読了 『夜が明ける』が刊行された少しあと(私自身も読み終えたあと)に、NHKの「ニュースウォッチナイン」で西さんがインタビューを受けているのを観た。顔がちっちゃくてキュートで、なによりも芯が強いと…

『夜が明ける』西加奈子|「助けてください」と言える、言わせる社会に

『夜が明ける』西加奈子 ★★ 新潮社 2021.10.28読了 圧倒的なパワーがある。西さんの文章は誰でも読みやすくてすらすら頁が進むのに、魂がこもっていて重たい。この小説の主人公とその友人がたどる道は正直つらい。読んでいて結構苦しかったのだけれど、最後…

『白いしるし』西加奈子/その人の作品を好きになる

『白いしるし』西加奈子 新潮文庫 2021.1.9読了 西加奈子さんの直球恋愛小説。それも、苦しい苦しい恋愛だ。32歳独身、絵を描きながらバイトをして暮らす夏目は間島くんに恋をする。間島昭史は、作中ではずっと『間島昭史』と『』つきで表されている。まるで…

『さくら』西加奈子/愛とアイデンティティ

『さくら』西加奈子 ★ 小学館文庫 2020.7.27読了 西加奈子さんの小説の中では、おそらく刊行数の多さは5本の指に入ると思う。西さんと言えば直木賞受賞作『サラバ!』が圧倒的すぎて、他の作品が霞むように見えてしまう。そんなことないのに。でも、この『さ…