書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(さ行の作家)-瀬戸内寂聴

『美は乱調にあり 伊藤野枝と大杉栄』瀬戸内寂聴|強烈な個性を発揮する人物らの生き様に惚れ惚れする

『美は乱調にあり 伊藤野枝と大杉栄』瀬戸内寂聴 ★ 岩波書店[岩波現代文庫] 2023.10.21読了 村山由佳さんの『風よあらしよ』を読んで、伊藤野枝さんの熱い人間性とその生き方に圧倒された。この作品は、故瀬戸内寂聴さんが94歳の時に、ご自身が「今も読ん…

『女徳』瀬戸内寂聴|生まれながら男を虜にする性

『女徳』瀬戸内寂聴 ★ 新潮社[新潮文庫] 2022.5.28読了 先日、窪美澄さん著『朱より赤く』を読み高岡智照尼の存在が気になったのでこの本を読んだ。智照尼のことをもっと知りたくなったのだ。これも小説ではあるが、ほぼ真実に近いとされている。新潮文庫…

『夏の終り』瀬戸内寂聴|習慣、そして憐憫

『夏の終り』瀬戸内寂聴 新潮文庫 2021.12.5読了 寂聴さんの恋愛実体験を元にして書かれた私小説で、女流文学賞を受賞した『夏の終り』。この短編を含めたいくつかの作品が収められている連作短編集である。私が生まれたときには寂聴さんは既に仏門に入り尼…

『かの子撩乱』瀬戸内寂聴/溢れ出る生命力

『新装版 かの子撩乱』瀬戸内寂聴 講談社文庫 2020.8.29読了 先日井上荒野さんの『あちらにいる鬼』を読んで、瀬戸内寂聴さんの小説を読みたいと思っていた。本当は代表作『夏の終わり』を先に読もうとしていたのだが、本屋でパラパラ見ていたら講談社文庫か…