書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(ま行の作家)-宮本輝

『三十光年の星たち』宮本輝|人間としての深さ、強さ、大きさを培う

『三十光年の星たち』上下 宮本輝 新潮社[新潮文庫] 2022.11.30読了 もっと古めかしい作品なのかと思っていたが、読んでみるとそうでもなかった。毎日新聞に連載された作品で、単行本になったのは平成23年だ。確かに新聞に連載になるような品行方正さがあ…

『ドナウの旅人』宮本輝|旅に出て、自分自身を見つめ直す

『ドナウの旅人』上下 宮本輝 新潮社[新潮文庫] 2022.10.1読了 ドナウ河は、ドイツの西南端に源流があり、オーストリア、チェコスロヴァキア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ルーマニアの7カ国を流れる3,000kmほどの長さのある河である。読み終えた今、私も…

『道頓堀川』宮本輝|薔薇と河豚に想いを馳せながら

『道頓堀川』宮本輝 新潮社[新潮文庫] 2022.2.23読了 宮本輝さんの川三部作、最後の『道頓堀川』を読み終えた。続けて読むのはどうも飽きっぽくてかなり間が空いてしまったが、読んでようやくすっきりした。「あれ読まなきゃな」みたいな感情が頭の片隅に…

『螢川・泥の河』宮本輝|のちの大作へとつながる

『螢川・泥の河』宮本輝 新潮文庫 2021.9.29読了 先日、宮本輝さんの大河大作『流転の海』全9部作を読み、えらく感動した。まだ川三部作を読んでいなかったので、この機会に読むことにした。全てが1冊にまとまったものがちくま文庫から刊行されていたのを知…

『流転の海』宮本輝|人間の宿命|なにがどうなろうと、たいしたことはありゃあせん

『流転の海』第一部〜第九部 宮本輝 ★★ 新潮文庫 2021.9.18読了 宮本輝さんの大河大作『流転の海』全9部作を読み終えた。単行本が都度刊行されている時から気になっていたが、あと少しと辛抱して文庫本が揃うまで待っていたのだ。今年の春、ようやく第九部『…