書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(わ行の作家)

『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』渡辺一史|わがままも自己主張のうち

『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』渡辺一史 文春文庫 2021.7.17読了 この本の存在を知っている方は多いだろう。ドラマ化・映画化もされたので映像として観た方もいるだろう。2003年に刊行されたこの作品は反響を呼びノンフィ…

『かわいそうだね?』綿矢りさ/言葉の持つ意味も絶えず変化する

『かわいそうだね?』綿矢りさ 文春文庫 2020.6.13読了 のっけから引き込まれる。主人公の樹理恵(じゅりえ)が大震災を妄想しシュミレーションをしているのだけど、普段自分が思っていることとよく似ている。あ、綿矢さんってやっぱり一般女性の普通の感覚…

『生のみ生のままで』綿矢りさ/本気で愛した人が同性だっただけ

『生(き)のみ生(き)のままで』上下 綿矢りさ 集英社 2020.3.5読了 ずっと気になっていた綿矢りささんの本、女性同士の恋愛小説だ。普段ならそんなに手に取らないタイプの作品だが、綿矢さんが書いた新たな境地を読んでみたいと強く思った。綿矢さんが描…

『手のひらの京』綿矢りさ/目に見えない土地の力

『手のひらの京(みやこ)』綿矢りさ 新潮文庫 2020.1.22読了 なんとなく手にして読んだ本。作者の綿矢さんがまさに京都出身で、初めて京都を舞台にして書いた小説だ。私が初めて京都に行ったのは中学生の時の修学旅行。その後も何度か訪れて、他の人と違わ…