書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

外国(ハ行の作家)-オルハン・パムク

『ペストの夜』オルハン・パムク|疫病と人類の戦い|空想画を描ける人は物語る力がある

『ペストの夜』上下 オルハン・パムク 宮下遼/訳 早川書房 2023.6.5読了 月曜日の深夜に『激レアさんを連れてきた。』というTV番組があって、その中で「架空の駅を1万個以降考えた人」が紹介されていた。その人は駅周辺の地図やらをプロかと見まごうほどの…

『無垢の博物館』オルハン・パムク|頬擦りしたくなるほど美しい作品を読んでしまった

『無垢の博物館』上下 オルハン・パムク 宮下遼/訳 ★★★ 早川書房[ハヤカワepi文庫] 2022.8.18読了 先日書店に行ったらハヤカワepi文庫で刊行されていて迷わず購入した。とても美しく、身体が痺れてしまうほど素晴らしい作品だった。どうしてこんな小説が…

『雪』オルハン・パムク/幸せとは何かを問う政治小説

『雪』オルハン・パムク 宮下遼/訳 ハヤカワepi文庫 2020.6.30読了 3〜4年前に買ったが、何となく読む気分にならずにずっと眠っていた本である。オルハン・パムクさんは大好きな作家の1人だ。トルコの小説で読んでいるのは彼の作品だけだと思う。 主人公Ka…

『赤い髪の女』オルハン・パムク/父と子の物語、見つめる母

『赤い髪の女』オルハン・パムク 宮下遼/訳 早川書房 2020.1.9読了 ★ 私の敬愛するオルハン・パムク氏の新作だ。思えば、トルコに興味を持つようになったのも、彼の『僕の違和感』という作品を読んでからだった。街に響き渡るボザ売りの声を生で聴きたいと…