書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

◇戦争

『動物会議』エーリヒ・ケストナー|子どものために戦争をやめよう|トリアーさんの素敵な絵

『動物会議』エーリヒ・ケストナー ヴァルター・トリアー/絵 池田香代子/訳 岩波書店 2022.3.10読了 ドイツで1949年に出版された絵本で、日本でもロングセラーとして読まれている。ケストナーさんといえば『飛ぶ教室』『ふたりのロッテ』が有名であるが、…

『フランス組曲』イレーヌ・ネミロフスキー|未完の大作と呼ばれる作品は感想が難しい

『フランス組曲』イレーヌ・ネミロフスキー 野崎歓・平岡敦/訳 白水社 2022.2.22読了 この小説は、著者のイレーヌ・ネミロフスキーさん死後、長女が預かっていたトランクの中から見つかったもので2004年に出版された。死後60年近く経ってからである。発売さ…

『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬|狙撃兵の境地とは、真の敵とは

『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬 早川書房 2022.1.15読了 選考委員満場一致(しかも満票)で去年のアガサ・クリスティー賞を受賞した本作品。単行本が刊行される前から話題になっていたので、私も楽しみにしていた。これが逢坂冬馬さんのデビュー作で、な…

『ベルリン3部作』クラウス・コルドン|より良い世界に変えていくために

『ベルリン3部作』クラウス・コルドン 酒寄進一/訳 岩波少年文庫 2021.12.3読了 ずっと読みたかったコルドンさんの『ベルリン3部作』を読んだ。これは児童文学のカテゴリーで岩波少年文庫から刊行されている。侮ることなかれ、名作の多い岩波少年文庫、や…

『黒い雨』井伏鱒二|被爆してもなお日常を生きる

『黒い雨』井伏鱒二 新潮文庫 2021.8.12読了 井伏鱒二さんの『山椒魚』は高校の現代文の教科書に載っていると言われているが、私は学んだ記憶がない。教科書の種類が違ったのか、時代が違ったのか。そもそも小中学校とは違って、高校では先生の好みで教科書…

『奥のほそ道』リチャード・フラナガン|戦争の英雄と言われても

『奥のほそ道』リチャード・フラナガン 渡辺佐智江/訳 白水社 2021.4.13読了 私は旅行でタイに2回訪れたことがある。2回めに行った時、バンコクの郊外・カンチャナブリのオプショナルツアーに参加した。このツアーは、映画『戦場に架ける橋』の舞台となった…

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/女性も最前線で銃を撃つ

『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫 2020.4.12読了 非常に重たい内容だった。読み終えた時に、ようやく終わったとホッとした。 途中から読み進めるのが辛くなってきたのだ。この本は、著者が500人…

『赤い月』 なかにし礼 / あなたは生きることの天才だ

『赤い月』 上・下 なかにし礼 ★ 岩波現代文庫 2019.7.31読了 波子たちが牡丹江からハルビンへ向かう軍用列車に乗っている20日間の出来事が壮絶である。汽車が止まる度に、ソ連軍の攻撃からなんとか逃げ、満鉄社員に金目の物をあげて列車を動かしてもらい、…

『不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲』 石田衣良 / これからは、戦争を知らない人が戦争を伝えていかなければならない

『不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲』 石田衣良 毎日新聞出版 2019.2.24読了 14歳の日系アメリカ人時田武と、一緒に住む家族達、そして親友との東京大空襲を含む3日間の出来事がタケシの目線で語られている。広島や長崎の空襲に比べると、東京の空襲…

「ベルリンは晴れているか」 深緑野分

「ベルリンは晴れているか」 深緑野分 筑摩書房 2019.1.7読了 1940年代のドイツ、ベルリン、主人公アウグステの数日間の物語。戦争が終わった後をひたむきに生きる人達。幕間がいくつか挟まれており、少女時代のエピソードが挿入されている。 少し前から新聞…