書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(た行の作家)

『雪の練習生』 多和田葉子 / 外も寒い、読んでいても寒い

『雪の練習生』 多和田葉子 新潮文庫 2019.2.9読了 最後まで不思議な小説であった。まず、ホッキョクグマが主人公であることもそうだが、あたかも人間のように振舞っている。そして周りも何ともなしに対応する。クマの三世代が自伝で紡ぐ連作小説。大事なこ…

「背教者ユリアヌス」 辻 邦生 /至福の読書

「背教者ユリアヌス」(一)(二)(三)(四) 辻 邦生 ○ 中公文庫 2019.1.23読了 あぁ、辻邦生さんの本を何故今まで読まなかったのか、と悔やまれる…こんなにも美しい日本語を奏でられる人が今どのくらいいるだろう。 4世紀のローマ帝国を舞台にした、史実を元に…

「冷血」髙村 薫

「冷血」上・下 髙村薫 ◎ 新潮文庫 2019.1.3読了 今年に入ってから読んだ本を1冊目からUPしようと思っていたので、数回分はバックデートになることをご勘弁あれ。 髙村さんの本は、合田シリーズは「マークスの山」と「晴子情歌」、あとは「土の記」しか読ん…