書に耽る猿たち

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『しをかくうま』九段理江|日常的な言葉遊びが物語になった

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『しをかくうま』九段理江

文藝春秋 2024.04.23読了

 

段理江さんの書く斬新な物語世界が好きだ。突拍子もない設定と、ユーモラスなのに冷酷とも思える言葉遊びの数々。でも、この小説は万人に受ける作品ではないと思う。競馬の実況をする男性が主人公で、何やら馬の名前の文字数が9文字から10文字に変わることから、やいのやいのと疑問を持ち始める。

 

変わらず九段さんはカタナカ言葉に魅力を感じているし、言語の置き換えがお好きなようである。彼女は常日頃から言葉遊びをしていて、頭の中で普段考えていることをそのまま小説にしちゃったんじゃないかという作品だ。いやぁ、難解だった。

 

段さんの文章は、すごく読みやすいところもあれば、何を言っているかわからず迷路に紛れ込む感覚になる部分もある。直面したとき、もしかしたらここが例の「AIが書いた部分なのか?」と考えてしまう。もちろん、読みやすいほうが生成AIが作ったもの。

 

ぁ、その生成AI云々も全体の数%だという話だし、それも現代のひとつの小説の在り方なんだろうと思うから私は気にならない。ある意味で突拍子もない文章があれば確実に本人が考え出したものなんだと思う。だって、AIは淀みのない綺麗なお手本のような文章を綴るのだろうから。

 

九段さん、今度壮大な長編小説を書いてほしい。

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