書に耽る猿たち

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『フランス革命の女たち 激動の時代を生きた11人の物語』池田理代子|ベルばらを読みたくなってきた

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フランス革命の女たち 激動の時代を生きた11人の物語』池田理代子

新潮社[新潮文庫] 2024.03.04読了

 

供の頃大好きだった漫画の一つが『ベルサイユのばら』である。女子はたいていハマっていた。文庫本の表紙にある、奮い立つオスカルとそれを守ろうとするかのようなアンドレの姿を久しぶりに見て、ベルばらを思い出した。あの漫画は本当に名作だ。フランス革命のことも、ベルばらから学んだようなもの。

 

の本はベルばらの著者池田理代子さんが、マリー・アントワネットらの有名どころの人物はもちろん、フランス革命の激動の時代を生きた女性たちにクローズアップして書いた本だ。それぞれの肖像画や当時を描いた絵画がふんだんに掲載されていて、それを見るだけでもなんとも高貴な気分になれる。

 

ぉ、デュ・パリー夫人!この名前にどうも嫌悪感を感じてしまうのはベルばらで結構最初の方に登場して、いけすかない奴だったイメージがあるから。国王ですら宮廷婦人たちと情事を重ね、何人もの愛人が当たり前にいた時代。今であればちょっと考えられないが、そんな恋愛風俗の時代だったのだ。その国王(ここではルイ十五世)の愛人のなかでも「寵姫(ちょうき)」と呼ばれ王族や全宮廷に正式に認められた存在になったのがこのデュ・パリ―夫人(元々はあのポンパドール夫人がその座にいたそう)。高級娼婦から成り上がり、国王から誰よりも大切にされていたが、民衆からの批判が高まり最後はギロチン刑に…。一人の人に愛されるだけではいけないんだなと思った次第。でも歴史的にこういう人物がいたということはおもしろい。

 

妃のお抱えの肖像画家であったヴィジェ=ルブラン夫人や、アントワネットの娘マリー・テレーズの数奇な運命もまた読みごたえあった。それにしてもこの時代、女性たちがいかに底辺に追いやられていたことか。

 

の本は池田さんが書いているから読んだけど、やはり漫画の方が全然おもしろいなぁ。『ベルサイユのばら』を全巻通して読み直したくなってきた。歴史フィクションに絡めてオスカル、アンドレというキャラクターを際立たせたのは本当に素晴らしいと思う。