書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(は行の作家)-東山彰良

『怪物』東山彰良|混乱だらけの重層的なストーリーに飲み込まれる

『怪物』東山彰良 新潮社[新潮文庫] 2025.05.30読了 この作品に関する感想は賛否両論あって、期待外れみたいな感想も結構多いのだけれど、私としてはそんなに悪くなかった。東山さんの筆さばきというか筆運びはやはり目を見張るものがあり、その語り口と表…

『小さな場所』東山彰良|中国語が日本社会の中に溶け込む日は近いかも

『小さな場所』東山彰良 文藝春秋[文春文庫] 2024.09.13読了 台湾のどこにでもあるような街・紋身街(もんしんがい)にある食堂の息子景健武(ジンジェンウ)の目線で描かれる連作短編集である。どこにでもいる人たち、どこにでもある些細な事件、つまり他…