『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』川上和人
新潮文庫 2020.3.10読了
本当はベストセラーになった『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』が読みたかったのだが、まだ文庫になっていないため、まずは手っ取り早い本書を手に取る。猿を始め動物好きの私は、恐竜もなんだかロマンがあって大好きだ。『のび太の恐竜』や『ジュラシック・パーク』『ダイナソー』などの映画でも恐竜はお馴染みで人気がある。わくわくするのは何故だろう。
川上さんの科学エッセイである。しかし、川上さんは恐竜学には精通していない素人であり(読者からしたら、随分詳しい!)、本職は鳥類学者だ。この本では、「恐竜は鳥類の祖先だ」という説を大前提にして読み進めるようにとある。
章ごとに鳥と恐竜を絡めて多角的に共通項を見出していく。始祖鳥は確かに鳥だし、二足歩行だし、確かにものは考えようで、人と違った角度でみると色々なものが見えてくる。
鳥の特徴として、空を飛べること、これが真っ先に思いつくだろう。しかし、歯がないなんてこと考えたこともなかった。そういえば、鳥ってクチバシで物を噛んでるんだ。なんか長く生きてきて、初めて学んだような感覚だ。
恐竜が絶滅した白亜紀末に何が起こったのかというと、火山による大規模爆発が有力な説のようだ。確かに、地殻変動や天変地異が起こって何もかも生物が滅んだと考えるのが無難に思える。だから、人間がもしこの先滅びるとしたら、誰にも止められない天変地異やウイスルなのかもしれない。何億年も先に、同じように「人間が滅亡したのは…、」なんて論じている生物がいるかもしれない。生物学は摩訶不思議だ。
なるほど、読み終えた今、私の中では恐竜は鳥と同じになった。どちらかといえば、恐竜は大きな哺乳類、動物の仲間として捉えていたのに。恐竜を語るとはいえ、やはり鳥寄りになっていたかな笑。川上さんはユニークな文章を書くから、読んでいてくすっとなる。きっと話をするのもとびきり上手いのだろう。
昔、ニューヨーク旅行で訪れた「アメリカ自然史博物館」で恐竜ブースがあり、そこで魅力に取り憑かれた。子供だけでなく、大人だってわくわくする。福井県にある「恐竜博物館」にはまだ行ったことがない。敷地内では発掘体験も出来るようだけど、こんな大の大人でもやっていいのかな?