書に耽る猿たち

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『ぐるぐる♡博物館』三浦しをん/行きたい、会いたい博物館

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『ぐるぐる♡博物館』三浦しをん

実業の日本社文庫 2020.10.22読了

 

ょっとエッセイでも読んで休憩。小説が好きだからどうにも偏りがちだが、なるべく10冊に1冊は小説以外を読むようにしている。しかし振り返るとここ最近は小説が連続していたから、少し読むという行為に対して疲れ気味だったのかなぁと。

の本は、三浦しをんさんが博物館を実際に訪れてまとめたルポエッセイだ。博物館!たしかにわくわくする!私は美術館には結構行くのだが、博物館はそんなに行く機会がない。けれどもちろん大好きな場所である。

物館といって私が真っ先に思いつくのは、ニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」だ。興奮の嵐!映画『ナイト・ミュージアム』の舞台でもある。足を踏み切れた途端、恐竜や動物たちの剥製に囲まれて冒険心に火がつく。また行きたいな〜。

をんさんが足を踏み入れた博物館で、実際に見て感じたことを、わかりやすくかつユーモア溢れる表現でルポタージュしている。その数は寄り道編3館を合わせて計13館。全て興味深かったのだが、中でも気になったのが2つ。

ず「雲仙岳災害記念館」だ。日本で住む以上、火山は身近にある。科学的に観測され、噴火するメカニズムなどは判明してはいるものの、体験したり身近にないとなかなか想像しにくいものだ。ここでは多くの記録や映像で学び知ることが出来る。「平成大噴火シアター」という体験型映像コーナーも非常に気になる。

う1つが福井県の「めがねミュージアム」だ。めがねの歴史が紹介され、また体験工房では自分のめがねを手作りできる。昔のめがねの変遷だけでも楽しいのだが、おそらく職人さんであり案内係である榊さんとしをんさんのやり取りがおもしろかったのもある。

にも、石ノ森章太郎先生が生みだしたキャラクターに会える「石ノ森萬画館」や、会員制の「風俗資料館」など気になる博物館だらけだ。しをんさんの作品で小説以外を読むのは初めてかもしれない。小説もかなり読み易い部類なのだが、エッセイはそれ以上だ。だからさらっと読めて、こんな気分の時にはちょうど良い。

才は言わずもがなだが、「人間」の魅力を最大限に表している。各館の館長さんや学芸員さんはその人なりの矜持があり魅力的な方々なのだろうが、しをんさんの筆致により、一層生き生きと輝くようにみえる。その場所に足を運びたいと思うだけでなく、彼(彼女)に会って話を聞きたい!と思わせるのだ。

人的に気になっているのは「福井県立恐竜博物館」だ。本で紹介されてはいないが、あとがきで少し触れられていた。会社の同僚で3回も行った人がいる。本の中で紹介された博物館のうち、2館が福井県だったし、福井県は技術と専門性が際立つ街なのかもしれないなぁ。