書に耽る猿たち

読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる話

国内(か行の作家)

『なんでわざわざ中年体育』角田光代 / 自分にも出来るんだ!という達成感

『なんでわざわざ中年体育』角田光代 文春文庫 2019.10.16読了 体育っていうのがいい。運動でもスポーツでもなく、体育。まるで体操着かジャージを着て、小中学生のように活動してるみたいじゃないですか、角田さん。 30代後半を過ぎてから、運動(この本で…

『平凡』角田光代 / なんでもない日々の暮らしが一番

『平凡』 角田光代 新潮文庫 2019.9.7読了 世の中の読書好きな女性がたいていそうであるように、私も角田光代さんが大好きである。もちろん女性に限らないが、角田光代さん、江國香織さん、小川洋子さん、柚木麻子さん、山本文緒さんらは女性読者が圧倒的に…

『山の音』川端康成 / 死期を感じること

『山の音』川端康成 新潮文庫 2019.9.5読了 言わずと知れた、川端康成さんの名作、『山の音』である。戦後文学の最高峰と謳われる小説だが、まだ未読であった。何の小説だっただろうか、主人公が常に持ち歩いていた本がこの『山の音』だったことから、そうい…

『狂王の庭』小池真理子 / 大人のための極上の恋愛小説

『狂王の庭』小池真理子 角川文庫 2019.8.23読了 恋愛小説である。こういった恋愛ひとすじの小説を読んだのも久しぶりな気がする。10代、20代のころは恋愛小説が好きだったはずなのに、最近は全くそう思わない。若い時は、そもそも現実において「恋愛」が全…

『夏物語』 川上未映子 / 人はどのようにして、どのような想いで子どもを産むのか

『夏物語』 川上未映子 ★★ 文藝春秋 2019.8.14読了 芥川賞を受賞した『乳と卵』と繋がっている話のようだ。川上未映子さんの作品を初めて読んだのが『乳と卵』だったので、比較的覚えていた。第一部はほとんど続きといってもいいような感じで、途中に日記が…

「輝ける闇」 開高 健

「輝ける闇」 開高 健 新潮文庫 2019.1.13読了 年末に始めて読んだ開高健さんの「青い月曜日」。生き生きとした文体に生のエネルギーを感じた。ねっとり絡みつくような比較的長めの文章が好物である私だが、歯切れの良い開高さんの文体にどこかしら心地良さ…