文藝春秋 2024.04.27読了
インドのミステリーなんて読んだことない!というか、そもそもインド人作家の小説を読んだことがあるのだろうか。あっても記憶にないし、インド人作家の名前すら出てこない。人口が14億人を超える国なのに、優れた作品がないわけがない。最近ガツンと痺れる本に出逢えていなくて(もう麻痺しちゃってるのかなぁ)、冒険を求めてあまり読まない本を選んだ。
タイトルのガラムマサラって、スパイスのことだよな。タイトルだけ見たら料理の物語なのかと思っていたら、全然違った。しかも、最後までなんでこのタイトルなのかがクエスチョンのままだ。
主人公ラメッシュ・クマールは、教育コンサルタント業を営む。依頼を受けて富裕層の子供を希望大学に入れるという違法なもの。今回金持ちの息子ルディを一流大学に入れるという依頼が来て、替え玉受験をした結果なんとルディはトップで入学することになったのだ。そこからルディとラメッシュの運命は大きく変わっていく。
これほど金持ちでこれほど有名になると、リアルなものは手に入らなくなる。(130頁)
ミステリーというよりもエンタメ系。はちゃめちゃでスピーディーな展開が2時間ドラマや映画を見ているようで、勢いよくラストまで進む感じだ。ルディとの関係性がどんどん良くなるところが友情の物語にも感じた。
普段ニュースなどでインドの景色や事件はあまり流れない。どうしてだろう…。だから私たちが持つインドのイメージはどうしてもガンジス川に入る人々だったり、香辛料の香りだったり、旅行に行くと世界観が変わる、みたいな漠然としたもの。しかもこれらはかなり古い情報よな。
冒頭でインド人作家がどうの…と書いたが、4年ほど前にサルマン・ラシュディさんの『真夜中の子供たち』を読んでいた。あとはインド人ではないが、インドを舞台にした『インドへの道』や『シャンタラム』など。イギリスとインドは切っても切れない関係だから、もしかしたら英国ではインド作家の本がたくさん訳されているのかもしれない。日本とインドの関わりって薄い気がする。たぶん、多くの名作があるはずだから、もっとインド小説を読んでみたい。