書に耽る猿たち

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『なんでわざわざ中年体育』角田光代 / 自分にも出来るんだ!という達成感

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『なんでわざわざ中年体育』角田光代

文春文庫 2019.10.16読了

 

育っていうのがいい。運動でもスポーツでもなく、体育。まるで体操着かジャージを着て、小中学生のように活動してるみたいじゃないですか、角田さん。

30代後半を過ぎてから、運動(この本では体育)にハマった角田さんのエッセイ集。約5年間、雑誌に連載されたエッセイを集めた作品集で、単行本としては2016年に刊行されている。文庫本のあとがきは最近書かれたもののようだが、現在も変わらず運動を続けているようだ。

っと耳が痛くなるような話なんだろうな、と思っていた。私も20代までは、多少太っても、ジョギングをして、少し食べる量を減らせば簡単に痩せられたのに、今や代謝が悪くなりちっとも効果がない。だからなおさらやりたくないと思い、そして体力すらなくなってきている。運動神経は悪いけれど、身体を動かすのは好きな方なのに。

田さんは運動がむしろ嫌いらしい。ある時、「年齢とともに体はどんどん衰え、年齢と精神と肉体はどんどんアンバランスになる」という予感から、運動を始めた。43歳で始めてフルマラソンをし、トレイルランニングボルダリング、スポーツジム、ヨガなど色々と試している。角田さんのそのエネルギーは、自分にも出来る!という達成感のようなものから来ているらしい。さらに、何となく始めたことに対し、継続出来るという特技も持ち合わせているようだ。ベアフットランニング、聞いたことはあったけれど、とても難しそう。裸足で走るような感覚。石でも転がってたら痛くないのかな、なんて想像してしまう。

田さんは旅行が趣味なのは知っていたが、運動もしていたんだな。このエッセイを読んで、逆に元気になれた気がする。マイペースに、適度に頑張る姿、お酒も食べることも好きな彼女は、なんでも楽しめるように見える。年齢は誰にでも平等に訪れる。若作りではなく、年相応の魅力を身につけるためにも、健康維持はやはり大事なこと。

れにしても、物書きもしかり、フルマラソンを走ってる人って本当に多いなぁ。マラソン人口はここ数年で本当に増えた。会社にも何人もいるし、多くの大会に、自慢げに出まくっている。中毒になったように、一度その達成感の虜になったらやめられないのだろうか。私もいつか、一度でいいからフルマラソンを走りたいと常々思ってはいる。いつか、なんて言ってても、先延ばしにする程出来なくなりそうだから、少しづつでも走りこまないといけないな。週末は、軽〜く、ゆっくりジョギングしてみるかな。

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