書に耽る猿たち

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『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ / 女性が働きやすくなるように

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『82年生まれ、キム・ジヨン』 チョ・ナムジュ  斎藤真理子/訳

筑摩書房  2019.2.4読了

 

韓国は女性が最も働きづらい国だったことを恥ずかしながら今知った。英国の『エコノミスト』誌が発表したところによると、韓国は、ガラスの天井(マイノリティや女性の昇進を妨げる、目に見えない壁)指数で調査国のうち最下位を記録したそうだ。我が国日本も、先進国に比べるとまだまだ女性軽視の風潮が強い。

このガラスの天井指数について調べてみると、経済協力開発機構(OECD)加盟国29ヵ国中、韓国は6年連続最下位、そしてなんと我が国日本もその1つ上の28位であった。変わらないではないか。指数は、男女の高等教育、労働力率、賃金、育児費用、育休の権利、ビジネススクール候補生、議員や管理職の占める割合等10項目を平均化したもので算出する。日本も昔に比べると女性の社会進出は増えているが、まだまだ世界では圧倒的にレベルが低い。保育園問題然り、育児休暇問題然り。上位3ヵ国は、アイスランドスウェーデンノルウェー福祉国家で有名な北欧はやはりここでも世界を引っ張っている。高い税金を納める事で問題点もあるが、これからの高齢化時代の面からも、社会福祉の充実は避けて通れないだろう。

小説の形を取っているが、キム・ジヨンさんの成長や取り巻く社会を精神科医の目線から書かれており、物語というよりもノンフィクションやドキュメントのようで訴えるものが大きい。多くの女性からは共感を得られると思うが、こういった内容のものを男性が書くようになると、それだけ理解が浸透しているということに繋がるのかもしれない。