書に耽る猿たち

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『星月夜』伊集院静|推理小説かなぁ?|大谷翔平選手は日本の星!

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『星月夜』伊集院静

文春文庫 2021.7.13読了

 

月夜(ほしづきよ)と聞くと、私はフィンセント・ファン・ゴッホ作の絵画を思い浮かべてしまう。現実にあるような星空ではなく、油絵の具を塗りたくった肉厚の空と大きな星たち。でもこの作品を読んだ後に思う星月夜は、深い藍色の空に浮かぶ小さな星のかけらだろう。亡くなった大切な人がその星になったかのように。

京湾に若い女性と老人の2人の遺体が浮かぶ。捜査をするのは捜査一課や鑑識課の警察の面々。一方で行方不明の家族を探す人たちもいる。どんな風に繋がっていくのか。

集院静さんといえば、純文学の作品群や大人の上質なエッセイでよく知られる。推理小説はこの作品が初めてだということだが、綺麗度が過ぎていて、ミステリー感が薄いように思う。悪いわけではないけれど、いつもの作品の方が私は好きだ。

件を追う警察のキャラクターが少し薄いからだろうか。いや、薄くはない。鑑識の葛西刑事は味わいすらある。警察だけではないが、どのキャラクターも特に目立つことがないから際立つ人がいない。それに推理小説と売り出さない方が反応は良いのではないかな?と思う。文章はいつものように美しく読みやすい。

集院さんは昨年くも膜下出血を発症したが、なんとか生還を遂げた。まだまだお元気でこれからも良い作品を書き続けてほしいと願うばかりだ。

 

★★★

本とは関係ない話になるが、今日(これを書いているのは7/13)10:30頃、「始まるよ」と上司から声がかかる。仕事中ではあるが、エンジェルズの大谷翔平選手のホームランダービーをライブ中継で観戦した。結果は一回戦敗退ということで残念だったけれど、延長戦、延長戦となる展開、大いに盛り上がった。試合でもないのにこんなに興奮出来る、日本中をも笑顔にさせる。普段と違う大谷選手の姿、周りの選手たち、ファンの表情を観ていて、単純に楽しかったし感動すらおぼえた。

夜のニュース番組で編集されたものを見た。もちろん、事実やその場ではわからないエピソードなんかがわかるし「活躍すごいな〜」とは思う。だけど、やはりリアルタイムでノーカットで観るのとでは全然違う。マスコミの編集者の独断で編集されるものが全てじゃない、自分が何を見てどう感じるのかは人によって違うんだもの。そういう意味では菅総理や政治家が話すことも、ピンポイントではなく全てにちゃんと耳を傾けないといけないのかなとも思った。

勤務中にもこうして業務の手を止め、テレビ観戦していた会社が日本にたくさんあるだろう。世界でこれだけ活躍しているなんて、もうそれだけで日本の誇りだし、希望の星が大谷翔平さんだ!